“小麦粉ショック”で「米粉」に脚光 どんな風に使われているのか?ウクライナ侵攻の影響(2/2 ページ)

» 2022年05月05日 07時00分 公開
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サクサクが6時間持続 揚げものでも生きる米粉の価値

──実際にどのような食品メーカーから引き合いが増えていますか?

藤波: 現在は、ベーカリーや製菓が主体ですが、冷凍食品カテゴリーの問い合せも増えています。ギョーザの皮や点心の皮などへのニーズです。

 どの食品メーカーも、中長期での原料供給量や価格変動を気に掛けています。その点では、米粉用のお米は潤沢に在庫がありますし、価格も安定しています。小麦の代替という発想からシフトし、「米粉の良さを生かす商品開発」を検討するメーカーも増えています。

──米粉の活用として、オススメの食品カテゴリーはありますか?

藤波: 実は米粉の良さが生きるのは、“揚げもの”なんです。「米粉=パン」というイメージが強いかもしれませんが、グルテンを含まないため衣のサクサク感が強く、水分を吸収しない性質もあります。揚げたての食感が6時間も持続するんですよ。

波里では、サクッと仕上がる薄力粉を生活者向けに販売。売り上げも好調だ

藤波: テークアウトやデリバリーなど、調理してから食べるまでのタイムラグがある場合、食感が落ちないのは大きなメリットだと思います。

 また米粉は小麦粉主体の衣に比べて、吸油率を50〜70%カットできます。少量の油で調理できるのは経済的ですし、オイルカットされた商品は生活者にも魅力的に映るでしょう。スーパーの総菜やコンビニのホットスナックなどでも、ぜひご検討いただけたらと思います。

 もう一つオススメなのが、シフォンケーキです。米粉を使ったシフォンケーキは、小麦粉よりもしっとり、かつふんわりとした仕上がりが特徴です。

 卵、特に卵白には“起泡性”という、泡立てると気泡を抱き込む性質があります。また、砂糖は卵の気泡を安定化させる働きがあり、生地を加熱すると、生地内部に閉じ込められた気泡が膨張して生地が膨らむのです。

 グルテンの形成量が多いと、この生地の膨張が抑制されてしまいます。そのためスポンジケーキでは、グルテンの形成量が少ない薄力粉が一般的に用いられます。さらに米粉はグルテンを含まないため、小麦粉を使用する場合よりも膨らんだ状態が長続きするのです。

環境に対してのメリットも

──さまざまな用途で使える米粉ですが、消費量が増えることは、米生産者にとってもポジティブですよね。

藤波: 主食としての米の消費量は、毎年10〜20万トンの幅で落ちています。ですが、日本には米を生産しているたくさんの農家がいます。生産基盤がありますから、米粉の需要が拡大し米の用途が増えれば、多くの米農家が喜んでくれると思います。

 水田は稲を育てるだけではなく、環境に対してもさまざまなメリットがあります。

 一つは、水のろ過機能です。水田にたくわえられた水は、幾重にも重なる土の層を通り抜け地下水帯にしみ出していく過程で、細かい不純物が取りのぞかれ、きれいな水になるのです。さらに、地下水の量を一定に保ち地盤沈下を防ぐ機能や、洪水や土砂崩れの防止、水蒸気を発散することで気温上昇を抑制する働きも持っています。

 商談に限らず米粉についてのご紹介など、ぜひ気軽にお問い合わせなどいただけたらと思います。

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