このようにホテルの推し活プランが続々と発売されている背景について、多田さんは「コロナ禍で推し活の内容が様変わりしたためではないか」という。
「これまでライブやイベントなど現場中心だった推し活が、コロナ禍でファン同士のコミュニケーションに移り変わっていると思います。緊急事態宣言下ではホテルや飲食店にも行けませんでしたが、対策が緩和されてからファン同士でホテルを利用する人が増えている印象です」(多田さん)
現在、23歳の多田さんは小学生のころから推し活を始め、それを仕事にもしているほど推し活への造詣(ぞうけい)が深い。コロナ禍になってから自身もホテルでの推し活を始め、1年に20回ほどホテルで宿泊するそうだ。
「これまではカラオケルームで推し活をする文化があったのですが、長時間利用すると案外高額になるし、終電が気になってゆっくり楽しめないことも。ホテルなら時間を気にせず楽しめて、疲れたらお風呂に入ってすぐに寝られる。翌日も、CDショップで買い物をしたりして友だちと楽しめる。とにかく快適で、何度もリピートしています」(多田さん)
多田さんいわく、「ホテルで推し活する人が増えてきたために、ホテルの推し活専用プランが続々と発売する流れが生まれているのだと思う」とのこと。実際、品川プリンスホテルの担当者も、「SNS投稿などでホテルで推しの誕生日会を楽しんでいる人が多くいたため、専用の宿泊プラン発売にいたった」と話した。
冒頭で紹介したとおり、推し活(オタク)の市場規模は、コロナ禍で全体的に縮小傾向がうかがえる。しかし、多田さんの感覚としては、「推し活そのものが衰退している印象はまったくない」そうだ。
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