リテール大革命

歌手・リアーナの下着ブランドが大成功 下着のサイズに隠れた“ビジネスチャンス”とは石角友愛とめぐる、米国リテール最前線(4/4 ページ)

» 2022年05月18日 07時00分 公開
[石角友愛ITmedia]
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“ぴったりサイズ”に大きなビジネスチャンス

 実際に、Savage X Fentyの共同創設者であるクリスティーン・ペンダーヴィス(Christiane Pendarvis)氏とナタリー・グズマン(Natalie Guzman)氏は、店舗でのFit:Match技術採用に関して以下のように述べています

 Fit:Matchと提携することで、Savage X Fentyにいらっしゃるお客さまが絶対的な自信を持ってご自身にぴったりなサイズの商品を購入し、着用できるようになることを非常にうれしく思います。

  私たちは、お客さまにとって正しいサイズを見極めることがより重要になるような幅広い品そろえを提供しており、全店舗でFit Xperienceを展開し、ショッピング体験の革新をリードできることに興奮しています。

 ランジェリー業界は、その他のアパレル商品と違い、商品の性質上インスタグラムなどでの大々的なマーケティングや消費者間の口コミなどで広がりにくい要素があります。

 しかし、大々的に語ることが少ない業界だからこそ、サイズ選びなどの課題に関して大きなソリューションが生まれないままであったことも事実です。

 8割の消費者が間違ったサイズのブラジャーをつけているというデータは衝撃的ですが、そこにビジネスチャンスを見いだし、B2Bでアパレル企業にAI技術を展開するFit:Matchのような会社が今後増えるかもしれません。

 将来的には、B2CのECアプリにこの技術が実装されることも考えられます。顧客が店舗に足を運ばなくても、自宅でスマートフォンを使って測定し、自分にぴったりのサイズがレコメンドされるということが実現するかもしれません。

Savage X FentyのWebサイトより

 リアーナのブランドのように、どんなサイズの人でも受け入れるというメッセージは時勢に合ったものだと言えます。そのメッセージを体現するため、消費者の体に合わせたサイズを簡単にレコメンドするAI活用は、注目を集め成長を支える要因になるでしょう。

 報道によると、Savage X FentyはIPOも視野に入れているとのことで、今後さらに注目が集まると予想できます。

著者プロフィール:石角友愛(いしずみ・ともえ) 

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パロアルトインサイトCEO/AIビジネスデザイナー

2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。データサイエンティストのネットワークを構築し、日本企業に対して最新のAI戦略提案からAI開発まで一貫したAI支援を提供。AI人材育成のためのコンテンツ開発なども手掛け、順天堂大学大学院医学研究科データサイエンス学科客員教授(AI企業戦略)及び東京大学工学部アドバイザリー・ボードをはじめとして、京都府アート&テクノロジー・ヴィレッジ事業クリエイターを務めるなど幅広く活動している。また、毎日新聞「石角友愛のシリコンバレー通信」、ITメディア「石角友愛とめぐる、米国リテール最前線」など大手メディアでの寄稿連載を多く持ち、最新のIT業界に関する情報を発信している。「報道ステーション」「NHKクローズアップ現代+」などTV出演も多数。

著書に『いまこそ知りたいDX戦略』『いまこそ知りたいAIビジネス』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『経験ゼロから始めるAI時代の新キャリアデザイン』(KADOKAWA)、『才能の見つけ方 天才の育て方』(文藝春秋)など多数。

パロアルトインサイトHP:www.paloaltoinsight.com
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