ここまでは、企業が副業を解禁することによって得られるメリットについてお伝えしてきたが、同時にデメリットも理解しておかなければならない。それを踏まえた対策を講じることが重要だ。
(1)優秀な人材の流出
これが、企業が副業解禁を踏みとどまる最大の理由ではないだろうか。メリットとしても挙げた通り、社員が副業をすることによって得られる多くの出会いや刺激により、社員自身の成長が期待できるという側面もあるが、一方で、本業外の活動が軌道に乗ることで、自社の退職を検討する社員が出てくることも予想される。
退職するかどうかの判断は社員自身に委ねる以外ないが、それを最小限にとどめられるよう企業側にもできることはある。それは、職場環境を常にアップデートしていくということだ。つまり、副業容認などを含め、社員にとって働きやすいと思える環境を整える努力をしていくことは、言い換えれば、社員の帰属意識向上へつなげるチャンスであるともいえる。
(2)就業に関するトラブル
副業を解禁することによって起こり得るトラブルの一つが、副業にリソースを注ぎ込むあまり、本業に支障が出てしまうということだろう。そのほかには、同業種での副業により、技術や情報が漏えいするリスクも考えられる。
これらのトラブルを避けるために、企業は副業に関する就業規則を明確に定めておく必要がある。例えば、同業他社での副業は禁止としたり、週あたりの副業上限時間を定めたりするなど、事前の対策が重要だ。(参考:厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」)
ここで注意すべきは、企業外活動という特性から、就業規則の変更や周知の徹底がスムーズにいかない場合も多いということである。制度設計とあわせ、その周知に努めることも忘れてはならない。
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