ネコを広報課長に起用 大阪の老舗・中小企業が編み出したSNS発信戦略防災業界のアップデート目指す(2/2 ページ)

» 2022年05月21日 08時00分 公開
[濱川太一ITmedia]
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 同社は、青木さんの祖父、進さんが1961年に「青木消火器工業所」として興した。当時は消火器の製造・販売を手がけ、73年に青木防災として法人化し、事業を拡大。現在、従業員数は15人。消防用設備等の施工・点検・訓練などのサービスを、大阪府を中心に関西一円で展開している。

大阪市平野区の青木産業の社屋(右)。当初は消火器の製造・販売を手がけていた(左)

防災のソフト面を担うタマスケ

 青木さんは、防火・防災に対してある課題を感じているという。

 現状、消防法に基づいて建築物に消防用設備を設置するといったハード面の対策は浸透している。一方で、消火用設備の使い方や防火・防災に対する意識といったソフト面になると、「理想に対してギャップが大きい」と青木さんは指摘する。

 火災は常日頃起こるものではなく、忘れた頃に突然起こるもの。常にその危険性を意識して生活するのは困難だ。

防災の啓蒙などソフト面をタマスケが担う

 「99.99%は安全だが、残りの0.01%の危険性に目を向けるのが、われわれの仕事。防災への意識を高め、知ってもらう。その部分で、タマスケの手を借りている」と青木さんは話す。     

 人の意識を強制的に変えることはできない。内側から喚起されるような、人の心をくすぐるコンテンツが必要となる。それが広報課長タマスケの役割なのだという。

タマスケを生かした次なる発信戦略は?

 タマスケを広報課長に起用したことが功を奏し、今や「防災業界のインフルエンサー」と称される同社。“タマスケ効果”は大きいといい、設備点検に訪れたマンション先の住人から「青木防災ってあの青木防災?」などと声をかけられることも多くなった。

 今後、青木さんはSNS発信にさらなる工夫を凝らしていきたいという。配信する動画に、消防に関する実際のニュースを混ぜるなどし、より本格的な情報発信を進めていく予定だ。

 ネコの広報課長を窓口に、防災企業として認知度を高めた同社。情報発信の方法を日々磨くのは、ひとえに「防災のプロ」として人々の安心・安全を守るため。今後の目標について、青木さんはこう語った。

 「人々の日常に防災意識を浸透させ、消防設備業界のアップデートを牽引するような存在になりたいです」

「誠心・誠意」の社訓を掲げ60年に渡り消防設備業を展開する青木防災の社員たち
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