テレワークにオンライン会議など、新たなスタンダードが登場した現代は、これまでのビジネスの前例だけでは、カバーしきれなくなった時代です。そんな時代には、日本人が古くから狭い茶室で対面していた時にはどんな配慮が求められていたかを参照してみることにも、意味があることでしょう。
本連載では、現代のビジネスシーンでも応用できる、茶道に伝わる格言をご紹介します。
オンライン会議が録画されて、終了後に録画のサイトにアクセスさせてもらえる、という場合も増えてまいりました。録画の許可を求めるサインがあると、つい気が緩んだという経験はありませんか?
たとえ、再生速度を速めて確認し直すことが可能であっても、一度聞いたはずの内容を再確認するために余計な時間をかけるような余裕はないはずです。今回取り上げるのは、こんな時に思い出したい言葉「一期一会」です。
「一期一会」については、読者の方々もどこかで触れられたことがあるかと思います。「一期一会」を企業名としている会社も多数あり、業種も飲食店にかぎらず、エステサロン、訪問介護、廃品回収リサイクル業と多種にわたります。
顧客との出会いを大切にしていますという意味のキャッチフレーズと広く使われていることは知っていても、そのルーツが茶道にあることは案外知らないという方が多いのではと思います。
茶道で説かれた教えが、ビジネスにも応用できると社名にまで採用した企業は、何を重視したのでしょうか。その理由をルーツにさかのぼって納得すれば、皆様のビジネスにも役に立てられるはずです。
平安時代に喫茶の風習が大陸からもたらされた時から、人を招いてお茶を飲む機会は、たびたびありました。しかし、ことさらに「茶会」と呼ばれる集まりとはどこが違うのでしょう。
戦国時代に奈良や堺の商人が、名物鑑賞に伴い茶が出される会合に呼ばれた相手の名前をとって「○○会」と記録を残していることから、これらの記録が「茶会記」と呼ばれ、それらに類似する会合を「茶会」と呼ぶようになったようです。
これらの茶会に呼んだり呼ばれたりした人たちは、それぞれ一家を構えた商人でした。記録には残されなくても、必然的に仕事上の話も茶席では飛び交っていたことでしょう。
つまり、商談がおこなわれたはずですが、普通の商談ならばそれぞれの店先でもできるはず。店先ではなく、茶室に場所を移したのはなぜか? と想像力をたくましくすると、使用人には聞かれずに、主人同士だけで行いたかった相談事ではないかと考えることができます。
堺の商人にとって重要なビジネスシーンが茶会だったのです、その茶会での心得が、ビジネスにも生かせないはずがありません。
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