年齢にとらわれずに人事を行っていこうという企業が増えてきていますが、新卒一括採用や定年制は今後もまだまだ続くでしょうし、個人差はあっても誰しも年齢を重ねるにつれて伸びしろが小さくなっていくことは否めません。
これまでよりはエイジフリーに近づいていくにせよ、やはり人事は年齢とまったく無関係というわけにはいきません。本記事では、各年代層に特徴的な異動配置ロジックをみていきます。
まず、新卒の配属から見てみましょう。新卒から10年間くらいの若年層の異動配置は、誰がいつ適性を判断するのかによって4つのパターンに分類できます。適性を判断するのは会社か本人か、入社前後の早期に行うか、それともじっくりと何年もかけて判断するか。企業によってスタンスが分かれます。
近頃では「配属ガチャ」という言葉もあるようです。新卒の配属は運次第のガチャなのか。その後の各年代層の異動配置はどのように決まっていくのか。それを知っているのと知らないのとでは、みなさんの今後の企業内キャリアが変わってくるかもしれません。
複数部門・職種を経験させた上で人事部門が適性を判断するタイプで、ジェネラリスト育成型「10年3部署」異動を行う例が典型です。最初の10年間は営業→財務→企画というように、今の仕事で高評価でも全く異なる部門に異動させて各人の適性をじっくりと見極めます。少数の幹部候補生を絞り込んで採用する伝統的企業に見られる非常にぜいたくなやり方です。
採用選考や新人研修の段階で人事部門が新卒者の適性を営業系・企画系・コーポレート系など何通りかに分類するもので、このタイプの企業が最も多くみられます。総合職採用といっても、実質的には入社初期段階でその企業における基本的な育成・配置範囲が決まります。
このタイプでも10年で3回の異動があったりしますが、例えばB事業部の営業職であれば、事業部と職種は同じで勤務地や担当製品が変わるというようなパターンです。本人希望もある程度聞いてもらえるとはいうものの情報が少ない中で人事部門が決める、以降の企業内キャリアが最初の配属に縛られることが多いという意味では、配属ガチャ的だといえるかもしれません
本人が特定の育成・配置範囲を積極的に希望して入社する形で、職種別採用が典型です。総合職採用であっても、技術系は学部・学科と職種が密接に結び付いている場合も少なくないので、このタイプに近いといえます。また、事務系の場合も、配属先を約束しないと入社しない人が増えているという声も聞かれ、明確な職種別採用ではないものの初期配属は本人希望を優先するという企業が多くなっています。財務や法務のように企業横断的な専門知識を要求される職種は実質的に職種別採用に近くなってきています。
社内公募など手挙げの異動を活用し、異動は本人希望に委ねようというものです。ジョブ型導入の流れもあって、中には、基本的に会社主導の異動は一切行わないとする企業も出てきています。
このように新卒者の適性判断には4つのタイプがあります。趨勢(すうせい)としては早期に適性判断する、できるだけ本人希望を取り入れるという流れです。ただ、早期の適性判断には見込み違いもありうるため軌道修正できる選択肢が必要です。また、ジョブ型的な企業であっても次世代経営人材候補には会社主導の幅広いローテーションによる育成ニーズがあります。実際には、各企業とも【A】〜【D】のいずれかに軸足を置くものの、どれか一つのやり方ということではなく4つのやり方を組み合わせるかたちです。
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