ときどきニュースになる社員の横領や不正。明らかな犯罪行為ですが、一方で社員の横領や不正を未然に防ぐための方策を講じていなかった会社の責任でもあります。不正を行う社員が悪いのはもちろんのことですが、魔がさして社員が犯罪行為に手を染めてしまわない仕組みづくりが必要です。
ここでは社員の横領や不正を未然に防ぐための3つの方策をアドバイスします。
会社で不正が起きると、特に中小企業の場合は、経営を揺るがしかねない問題にまで発展することがあります。金銭的な被害だけでなく、顧客や取引銀行など社外からの信用を失うこともあります。また、社内では気心の知れた仲間が不正をしていたという驚きや動揺が広がり、士気が下がってしまうこともあるでしょう。
不正をしていた本人が最も悪いことはもちろんですが、果たしてその全てが本人の責任と言い切れるでしょうか。例えば、銀行から小口金庫へ現金の資金移動を行う際に、銀行口座からの現金引出し、小口金庫への出納、小口残高・銀行残高と小口金庫の照合までを、一人の従業員に任せる運用をしていないでしょうか? またこのような状態が長期間続いているようなことはないでしょうか?
人間誰しも魔がさすことはあります。仮に魔がさしたとしても、不正が起こらない仕組みをつくっておくこともまた、会社の責任になります。なぜなら、「不正をした」という「行為の責任」は本人に帰すべきものですが、「不正ができる」状況を防ぐような「環境整備を怠っていた責任」は会社にもある、という考え方が、最近の社会的要請であるからです。
ニュースなどでよく耳にする「コーポレート・ガバナンス(企業統治)整備」は、同じことを指しているとご理解いただいて結構です。
また会社が、不正の防止に責任を持つことは、会社を守るだけでなく、従業員も守ることである、と考えてください。長年つれそった仲間が、不正の処分で職場を去っていく姿にはしのびないものがあります。
以下に、「不正が起こりやすい状況」と、横領など「不正の典型的なパターン」、そして「不正を防ぐ3つの方策」についてご紹介いたします。この機会に、経営者、管理職、従業員の皆さんで、不正について考えてみてください。
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