6月1日「選考解禁」なのに、5月で内定率6割のなぜ 就活生の“悲痛”な声に大きな反響政府方針と民間調査を比較(1/3 ページ)

» 2022年06月08日 06時30分 公開
[樋口隆充ITmedia]

 なぁ皆、就活って6月解禁だよな、、、?6割内定持ってるってのは嘘だよな?なぁみんな返事してくれよ──就職活動中の学生とみられるTwitterの投稿が注目を集めている。投稿には「就活もう終わった」「建築系だと、春休み明けで大体の人は内定貰(もら)っとる」など、就活中とみられるアカウントからさまざまな意見が出ている。政府の就活日程に関する方針と、就活生向けの民間調査の結果を比較し、この投稿の妥当性を検証する。

photo 就活中の学生のイメージ(提供:ゲッティイメージズ)

 注目のツイートをしたのはネルさん(@nerufoss)。Twitterアカウントのプロフィールには「23卒」との記載があることから、就活中の大学生とみられる。記事執筆時点(6月6日午後2時)で約5550リツイート、約6万1000いいねを記録している。ツイートには「もう4年生は内定貰ってるらしい。逆に貰えない人は中小探した方がいいのかも」「6月の就活解禁前に、青田買いをする企業も多い」など大企業は既に選考を終えていると指摘する意見がある一方、「残り4割はこれから!」と励ましの意見も出ている。

23卒の内定率は65.4% リクルート調査

 就活サイト「リクナビ」を運営するリクルートが5月24日に発表した「就職プロセス調査 」によると、23卒の5月15日時点の内定率は65.4%(前年同期比6.2ポイント増)。「選考が進み接点を持つ企業数が減ってきている様子がうかがえる」という。

photo リクルートの内々定率に関する調査(出典:リクルートのプレスリリース)

 業種別では「情報通信業」が内定率29%と、他業種と比較して突出しており、次点の「サービス業・その他」(同14.4%)の倍近い内定率を示している。従業員規模での内定率は「300〜999人」(同39.5%)、「1000〜4999人」(42.1%)、「5000人以上」(30.6%)となっており、従業員数が多い大手企業の3社に1社近くが既に内定を出しているとみられる。上記のツイートへの一部の指摘は数値面でも実証されているといえそうだ。

photo 内定取得先企業の業種
photo 内定取得先企業の従業員規模

 「あさがくナビ」を運営する学情は56.9%(同4.6ポイント増、4月末時点)、「マイナビ」を運営するマイナビは47.3%(同6.4ポイント増、4月末時点)の内々定率があると、それぞれ発表している。

photo 学情の調査
photo マイナビの調査

 5月15日時点の「リクナビ」に対し、4月末時点の「あさがくナビ」「マイナビ」で対象期間は異なるが、3調査に共通するのは、いずれも前年同時期と比べて内定率が増加している点で、大手企業を中心に選考時期が早期化している状況がうかがえる。学情調査では理系内定率が70.7%(同7.7ポイント増)、マイナビ調査では平均内々定保有社数は1.7社という各社で特色ある結果も示している。

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