前回の記事「もはや『左遷先』などではない! “誰でもできる”と思われがちな総務が、どんどん『専門職』になる理由」では、総務のみならず、管理部門全体が戦略化し、それぞれコンパクト化すると記しました。その本質は、作業から考える仕事への転換です。
タスク分解という言葉があります。 「今行っている仕事について、どこまでを人(従業員)が行い、どこからテクノロジーに置き換え、残りをどうBPO(専門業者への外部委託)するか」ということです。このタスク分解の本質は、得意なコトは、得意な人に任せる、というものです。
ルーティン業務はシステムに置き換えられた方が、間違いなく確実に処理されます。また、さまざまな分野でBPOが存在し、進化しています。誤解を恐れずに言えば、素人の自社の従業員が行うより、プロが行った方が質の高いサービスを提供でき、そのサービスを享受する従業員の満足度は高まります。
自社の従業員が対応する場合だと、「Aさんは対応するが、Bさんは対応してくれない」といった差が生まれるケースもあるでしょう。しかし、庶務的な業務を全て常駐型のBPOに委託した総務部長は「あのホスピタリティは、自社の従業員では絶対に無理です。BPOとしてのプロの仕事ですね」と話していました。
こうしてテクノロジーやBPOに仕事を置き換えることで生み出される空いた時間に、総務は何をすべきでしょうか。それは戦略立案です。こればっかりは、システムに、BPOに任せることはできません。任せてしまったら、そもそも総務の存在意義がなくなってしまいます。戦略立案、つまり考える仕事が戦略総務のミッションとなるのです。
総務が考える仕事をする時、どのような戦略を立案していけばよいのでしょうか? 戦略とはより詳しく補足すれば、「理想と現状の間にある課題の解決に向けた戦略」のことだといえます。
こうした戦略を立案する上で、「課題の発見」は戦略総務に求められる一つのスキルとなります。先に記したように、この課題とは、理想と現実のギャップです。ですから、課題の発見の前に、「あるべき理想の姿を描く構想力」が必要となります。
など、まずは「こうありたい」という姿を描きます。そのためには、自社の状況や時代の流れ、経営の方向性などを把握しながら想像力を働かせ、創造していくのです。従業員も幸せで、自社の成長にもつながる理想の姿とは何なのか。これを構想する力が必要です。
そして、現状を把握し、可視化する力も必要となります。現場目線に立ち、現場を歩き、肌感覚として状況を把握します。それとは別に、データによる定量的な把握も必要です。それには、デジタライゼーションが重要となります。テクノロジー・ツールを導入することで、状況を定量的に把握できます。データを活用することで、社員の働き方の解像度が上がります。リアルで行っている仕事を極力デジタル化することで、現場の状況もしっかりと可視化されることになります。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PRアクセスランキング
編集部おすすめブックレット