そうはいっても、副業の一歩を踏み出すには勇気がいるものである。そこで、まずは副業を始めることによって得られるメリットについて考えていこう。
(1)視野が広がる
同じ価値観を持つ集団の中では、固定観念にとらわれた状態で物事を判断しがちだ。そこで副業を始めることで、さまざまな境遇の人との関わりが生まれれば、自身の意識改革や視野の拡大につながるだろう。副業により養われた柔軟な発想力は本業においても良い効果をもたらし、結果として企業側に大きな利益を寄与することも考えられる。
(2)新しいスキルの獲得
一つの仕事を長く続けていると、スキルに偏りが生じる。つまり、その分野における特定のスキルは磨かれていく一方で、それ以外のスキル向上は期待できない。仮に本業で新しい分野にチャレンジしたいと異動願いを出したとしても、未経験のために希望が通らないケースもあるだろう。副業であれば、未経験可の求人も多く存在するため、新しいことにチャレンジするチャンスにもなる。
また、他業種・多職種で身につけたスキルそのものが本業に生かされるだけでなく、同僚とのコミュニケーションにおいてもその効果が発揮される可能性がある。例えば、本業でマーケティングをしている人が、副業でデザインの仕事を始めた場合、デザイン分野における業務経験により、クリエイティブ部門との連携がそれまで以上に円滑に進められるだろう。
(3)自社を俯瞰(ふかん)できる
特に新卒で入社した会社に長く勤めている人にとっては、自社を客観的にとらえることは難しい。なぜなら、自社のあり方が自分の中で「スタンダード」であり「当たり前」と化しているからだ。
他社での副業経験は、自社を外から見る機会でもある。そこで初めて自社の良い点、または改善すべき点が見えてくる。副業を通して他社のあり方を垣間見ることで、自社を冷静に見つめ直すことができるのだ。
(4)転職のリスクが減る
これまでの転職は、A社100%→B社100%という転職のスタイルが一般的だった。つまり、転職してみなければ、B社の実態を知ることは難しかった。それが、A社80%→B社20%と、副業という形でB社の仕事を試すことで、A社を辞める前にB社の実態を把握することができる。「思っていた働き方や仕事とは違う」と感じたら、B社への転職は辞めればよい。その場合でも、80%のA社の仕事があるため、リスクを最小限に抑えることができる。
実際に、転職を希望していたものの、副業という形で他社を経験する中で自社の魅力に気が付き、残留を決意したケースも少なくない。
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