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「出社=昭和」「在宅=革新的」って本当? NTTとホンダの経営哲学河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(1/4 ページ)

» 2022年06月24日 07時00分 公開
[河合薫ITmedia]

 “在宅勤務”という、コロナ前に会社員が夢見た甘美な4文字が議論を引き起こしています。

 テレビや新聞などのメディアはこぞって「在宅勤務に賛成? 反対?」とアンケートを実施。識者の意見や解説を加え、最後は「在宅と出社をうまく組み合わせる、ハイブリッドがベスト」と、そりゃそうだ的見解にまとめている。「で? オタクの会社はどうなのですか?」と伝えるアナウンサーに聞いてみたいが、「うちの会社は……」という人もいなけりゃ、「私は……」と意見する人もめったにいません。

 ほとんどのテレビ番組が、非常事態宣言時はコメンテーターをリモート出演させ、MCも別室からオンエアしていました。「あの時」のことを話してくれればいいのに、それをしないのです。

 “在宅勤務”という4文字には、「変化」への不安と期待が詰まっているのではないでしょうか。出社から在宅へ、メンバーシップ型からジョブ型へという「令和の働き方」に不安はあるけど、バブル崩壊以降、積り積もった閉塞感打開につながるかもしれないと期待がある。

 だからこそ、「こっちがいい!」とか「こっちじゃダメ!」と断言するのが難しい問題なのです。

不安と期待が入り混じる在宅勤務(画像はイメージ、提供:ゲッティイメージズ)

NTTとホンダ 正反対の選択はどうなるか

 そんな中、NTTグループが「原則在宅勤務」という、大胆な方針を打ち出しました。

 部署制限なし(=全ての社員対象)、居住地制限もなし、会社へのテレワーク申告もなしと、「なし」だらけ。出社する場合は「出張扱い」で、飛行機利用あり、宿泊あり、と「あり」制度も取り入れるとか。

 澤田純社長は2021年9月の記者会見で、「ワーク・イン・ライフを実現していく」と強調していたので、ライフの場である「家」があくまでも柱。「家の暮らしの中で、仕事をする」という発想なのでしょう。

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