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「底辺の職業ランキング」を生んだ日本 なぜ、差別とカスハラに苦しめられるのか河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(2/3 ページ)

» 2022年07月08日 07時00分 公開
[河合薫ITmedia]

エッセンシャル・ワーカーと職業差別

 2020年3月上旬、新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化しはじめた際に、全国各地で“トイレットペーパー騒動”が頻発したときのことを思い出してください。

画像はイメージ、提供:ゲッティイメージズ

 「今まで優しかった人々が、殺気立って、とにかくイライラをぶつけてくる。『次の入荷はいつ?』『いつもないじゃない』『1個くらい取っておいてよ』と電話でも、対面でも何度も何度も聞かれ、その度に『すみません』『申し訳ありません』と頭を下げている。人が鬼に見える。正直ノイローゼ気味」「コロナより人間が怖い」──と、Twitterで悲鳴を上げたドラッグストアの店員さんに、多くの人たちが共感。投稿は瞬く間にリツイートされました。

 当時、よく使われたのが「エッセンシャルワーカー」という言葉です。

 エッセンシャルワーカーは、「市民の生命と財産を守るために働いている人」と定義され、一般的には法執行、治安、食料生産、医療、緊急対応などに携わる労働者を指します。欧米では具体的にエッセンシャルワーカーの職種を定めているケースもありますが、日本では「日常に必要不可欠な職業」と曖昧に使われました。

 エッセンシャルワーカーという新しい言葉のもと、「みんなで感謝しよう!」とライトアップしたり、皆で一斉に拍手をしたりという試みも増えてきていました。

しかし、一方で、

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