僕は底辺職と呼ばれている仕事にはつきたくない
このままだと世間一般的に言われている「底辺職」にしかつけなくなる
──こんな、就活生らしき2人のキャラクターの憂いではじまる、「【底辺職とは?】底辺の仕事ランキング一覧」と題した記事が、公開から1年のときを経てSNSで大炎上、物議をかもしています(記事公開は2021年5月18日、現在は削除済み)。「なぜ、1年も前の記事が?」と疑問に思われる方もいるかもしれませんが、過去記事が「1人のつぶやき」がきっかけで拡散されることはよくあること。
土木・建設作業員、警備員、飲食店員、介護士、保育士など12の職業を「底辺職」としてあげつらうこの記事は、新卒向け就職情報サイトが作成・公開したものと知り……正直、あきれました。
いったいどこから、どういう思考回路をたどれば、「底辺職」だの「底辺の仕事ランキング一覧」だの「底辺職を回避する方法」などといった、下劣かつ下品な発想が生まれるか。
しかも、「底辺職と呼んでるのは“私”じゃないですよ〜。“世間”ですよ〜」といったエクスキューズをあちこちにちりばめ、「本気で介護職をしてる人もいる」「底辺の仕事をバカにすると『物事を肩書でしか見れない』と自分でアピールしているようなものなので、やめておきましょう」などと、あたかも「“私“は底辺職に敬意を払ってます!」と保身のコメントを入れ込んでいて、卑怯というか、悪質というか。炎上商法なのか、ただのおっちょこちょいなのか、はたまた大バカなのか、分かりません。
しかも、この問題を報じたテレビ番組が、この記事で「底辺職」にあげられた職業の人たちに、「こんなこと書かれてますけど〜?」などと突撃取材したとか。テレビ局の「オレ様ぶり」にも、あぜんとしました。
ただ、その一方で、「メディアは世間を映す鏡」でもある。底辺職という言葉に反応した人たちが、「差別を助長する」「バカにしてる」「突撃取材とか、よくできるな」と批判していましたが、たとえ「底辺職」という言葉を使わなくても、一部の職業の人たちをさげすみ、差別する人たちがいるのも、まぎれもない事実ではないしょうか。
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