進化がすごい! 「白くて丸いマッサージチェア」を生んだ、圧倒的な差別化戦略あんま王の挑戦【後編】(1/4 ページ)

» 2022年07月23日 07時00分 公開
[秋山未里ITmedia]

 最近、街にマッサージチェア「あんま王」が増えている。無重力感覚をうたう機能や、包み込むような丸いデザインが印象的なマッサージチェアだ。設置場所は増加を続け、銭湯・温泉などの温浴施設だけではなく、大型ショッピングモールや空港、ネットカフェ、コインランドリーなどへも設置されている。

マッサージチェアのあんま王

 このあんま王は、2011年に民事再生を受けた日本メディックが再起をかけて開発した製品であることを記事の前編で紹介した。

 初号機の発売からわずか10年で、業界シェアのトップを占めるまでに成長したあんま王シリーズは、他の製品と何が違うのか。日本メディックの城田裕之会長と城田充晴社長に話を聞いた。

前編はこちら

黒はロビーに置きづらい──「白くて丸い」マシンが生まれた背景

 あんま王の最新機種は19年に発売した「あんま王4」だ。この機種の最大のポイントは「色」だという。

「白くて丸い」デザインが特徴的な、あんま王4

 これまで、他社製品も含めて施設に置くマッサージチェアは大半が黒で、それ以外も茶色など暗い色が中心だった。その理由はヘアカラーや洋服の色がマッサージの圧でレザーに移ってしまうことが多いからだ。

 「ぐりぐりとマッサージされる中で(色移りの)すじが付いてしまい、不衛生感が出てしまいます。しかし、黒はそうした跡が目立たないので、ほとんどのマッサージチェアは黒だったんです」と城田裕之会長は説明する。

 「われわれは黒が普通だと思っていたのですが、商業施設や温泉・ホテルなどから『(黒い製品は)景観が悪い』『ロビーに置きづらい』との声が出てくるようになったんです。これまで真っ白のマッサージチェアはあまりなかったので、勝負をかけました」(城田裕之会長)

 そうした要望により、あんま王4はシリーズで初めて白いカラーに挑戦した。ただし、人が多く触れる部分は黒のレザーで統一。顔周りの壁を高くし、外側に白色を採用した。とはいえ白い部分にも人が触れることは多くあるため、汚れた場合の相性のいいレザークリーナーを導入先に案内するなど、清潔感を保つためアドバイスも行った。こうした活動が実って、「発売から3年ほどたちますが、汚れた、黄ばんだというクレームはほとんどありません」と城田裕之会長は説明する。

 「『白だったら導入したい』という施設もあり、新しい導入にもつながっています。黒も用意していますが、あえて黒がいいというのはネットカフェぐらいで、商業施設などではほとんどが白を導入しています」(城田裕之会長)

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