最近、街に「白くて丸い」マッサージチェアが増えている。銭湯や温泉、大規模ショッピングモール、空港などで立て続けに見かけて気が付いた。
このマッサージチェアは「あんま王」という。座る人を包み込むようなフォルムはこれまで見慣れたマッサージチェアに比べると高級感がある。無重力感覚をうたっていることや、全体のデザインからも近未来感のある印象だ。
発売元の企業は日本メディック。この企業について調べると、2011年に民事再生を受けたという崖っぷちの状況からV字回復し、売り上げは10年間で約10倍に。いまでは施設に置く業務用のマッサージチェアでトップシェアを誇っていることが分かった。
この10年間で、同社に何が起きたのか。あんま王を開発した日本メディックの城田裕之会長に話を聞いた。
日本メディックの前身となる企業は、もともとコイン式のマッサージチェアを温浴施設などに設置し、運営する事業を営んでいた。しかし、転機は突然訪れる。
主に取引していたマッサージチェアメーカーが上場を目指すことになった。その結果、これまで24回払いだったマッサージチェアの販売を、一括販売に変更することになった。青天の霹靂(へきれき)だった。
「24回払いで、マッサージチェアの収益から毎月の料金を払えば、その残りがキャッシュフローになるという形で、ビジネスが成り立っていました。しかし、2年にわたる売掛金は駄目だということで、『24回払いは今月いっぱいで終わります。それ以降は一括払いにしてください』と通告されて。突然事業が立ち行かなくなりました」と城田会長は振り返る。
「運営できている事業は他の会社に譲渡して、社員もほとんどそちらへ移籍しました。私を入れて4人の残ったメンバーで、民事再生を終結させました」
しかし、城田会長にはこれまでの経験を振り返ったうえで、一筋の希望となるアイデアがあった。
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