「大阪王将」勘違いで「餃子の王将」株価も下落? 意外と多い「とばっちり」事例をまとめてみた古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(3/3 ページ)

» 2022年07月29日 07時00分 公開
[古田拓也ITmedia]
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「郵政」と「郵船」

 このような「勘違い買い」の事例は、時に超大型企業の株価すら動かすことがある。15年の郵政3社上場の際に、海運株の日本郵船(9101)でも発生していた。

 日本郵船は、郵便の「郵」の字がついていることで日本郵政グループ関連であると勘違いされやすいが、実は三菱グループに属している会社である。同社における名前のルーツは1875年に解散した国策会社の「日本国郵便蒸気船会社」にあると見られている。

 三菱グループの総帥であった岩崎弥太郎は、そこから汽船と事業を譲り受けて「郵便汽船三菱会社」と改称し、そこから合併などを経て「日本郵船」という社名となったという経緯がある。そのため、大昔は郵便物の海運がメインの事業であったようだが、現在は郵便物を取り扱っていない。

グリーンランド(島)とグリーンランド

 最後に、もはや社名ではないが、北極圏にあるデンマークのグリーンランド島と、グリーンランド(9656)にも勘違い買いが入ったことがある。

 これは、2019年にトランプ米大統領(当時)によるグリーンランド買収構想が報じられたことによる。これを受けて熊本県の遊園地「グリーンランド」を運営する「グリーンランドリゾート」に大きな買いが入ったのだ。

報道を受けたトランプ大統領の投稿(反響はTwitteの方が大きかったが、アカウントは凍結されており、当時の投稿を見ることはできない)

 時の米国大統領が遊園地に目をつけたということであれば、なんともおかしなニュースであるとも思えるが、トランプ前大統領ならあり得ると思わせる不思議なキャラクター性もこの勘違い買いを引き起こしたのかもしれない。

とばっちりには事後のスピーディーな告知が重要

 このように、自社とは関係のないところで似た社名の会社が不祥事を起こしたり、逆に卓越した結果を残したりすることで自社の株価や評判が乱高下してしまうケースは決して少なくない。

 ある意味で天災のようなもので防ぎようがないものではある。しかし、天災も起こった後の対応が重要であるのと同じく、とばっちり事例も、ズームの事例のように、IRなどでいち早く風評を防ぐリリースを出すといった対応で傷口を小さくすることは可能だ。

筆者プロフィール:古田拓也 カンバンクラウドCFO

1級FP技能士・FP技能士センター正会員。中央大学卒業後、フィンテックベンチャーにて証券会社の設立や事業会社向けサービス構築を手がけたのち、2022年4月に広告枠のマーケットプレイスを展開するカンバンクラウド株式会社を設立。CFOとしてビジネスモデル構築や財務等を手がける。Twitterはこちら


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