コロナ禍でホテル総体として大変な状況に陥ったことは周知の事実である。何と比べて大変な状況なのかという話ではあるが、直前がインバウンド活況だっただけに、より落ち込みが際立って見えたといえるだろう。
覚えているだろうか。訪日外国人旅行者の激増でホテルの予約が取れないことが大きなニュースになり、ビジネスホテルでさえも販売価格を2万〜3万円に設定する施設に辟易(へきえき)としたものだ。さらには東京オリンピックへのポジティブムードの中、いつもなら1万円もしないビジネスホテルが、会期中に5万円以上といった設定も話題になったことは記憶に新しい。
一転、全世界で猛威を振るうことになった新型コロナウイルスの感染拡大。苦境にあえぐ宿泊業界全体のために、さまざまな観光需要を喚起するキャンペーンや助成など、政策としての救済の動きは多々見られる。
観光業への影響は社会全体の多方面に波及するということも鑑みる意義は大きい。他方、こうしたニュースの度に「これまでさんざんもうけてきたんでしょう?」という感想を時に目にする。
無論、個々のホテルの料金設定に対するさまざまな考えがあるのは確かだが、旅行に縁の無い市民の素直な一感情として、その声は分からなくもない。
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