東京以外に目を向けてみると、10年代は大阪などにも外資ブランドが広く展開されていったが、コロナ禍と経てもなお“お構いなし”といわんばかりに、最近でも外資ブランド誕生というニュースは関西エリアが目立つようになっている。
また、これまで東京や大阪で存在感を示してきた有名外資ブランドが、地方の中核都市へ波及していくケースも目立ってきているし、リゾート地への外資系ラグジュアリーホテルの誕生も顕著な動きとなっている。
冒頭で「コロナ禍でホテル総体として大変な状況に陥ったことは周知の事実」と述べた。“総体として”と表現したのも、実はラグジュアリーホテルはコロナ禍で影響の少なかったカテゴリーと指摘されてきたからだ。人との接触という点や、客室で充実した滞在を可能にするという点でも、コロナ禍でフォーカスされたことは理解できる。
最上を提供すればついてくるゲストやマーケットはどんな時世でも存在するともいわれるが、そうした点で「外的要因に左右される要素が少ないカテゴリー」といえる。
コロナ禍は旅行のスタイルを変えるといわれて久しいが、こと高級ホテルに限っていえば、スタイルを変えるどころか、新たなホテルステイのスタイルを次々提案していくことだろう。
瀧澤信秋(たきざわ のぶあき/ホテル評論家 旅行作家)
一般社団法人日本旅行作家協会正会員、財団法人宿泊施設活性化機構理事、一般社団法人宿泊施設関連協会アドバイザリーボード。埼玉大学大学院人文社会科学研究科博士前期課程修了。修士(経営学)。
日本を代表するホテル評論家として利用者目線やコストパフォーマンスを重視する取材を徹底。その忌憚なきホテル評論には定評がある。評論対象は宿泊施設が提供するサービスという視座から、ラグジュアリーホテルからビジネスホテル、旅館、簡易宿所、レジャー(ラブ)ホテルなど多業態に渡る。テレビやラジオ、雑誌、新聞等メディアでの存在感も際立ち、膨大な宿泊経験という徹底した現場主義からの知見にポジティブ情報ばかりではなく、課題や問題点も指摘できる日本唯一のホテル評論家としてメディアからの信頼は厚い。
著書に「365日365ホテル」(マガジンハウス)、「最強のホテル100」(イースト・プレス)、「辛口評論家、星野リゾートへ泊まってみた」(光文社新書)などがある。
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