クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

トヨタのいう「原価低減」とは「値切る話」ではない 部品不足と価格高騰池田直渡「週刊モータージャーナル」(1/7 ページ)

» 2022年08月01日 07時00分 公開
[池田直渡ITmedia]

 4月から始まった新しい決算期において、自動車メーカー各社は相次ぐ工場の稼働停止に苦しんでいる。

 まず部品がない。そして原材料から中間部品、エネルギーに至るまであらゆるものが高騰している。相当に苦しい状況である。一方で輸出で利益を上げる自動車メーカーの構造からいえば、円安の追い風は大きい。

 完成車を作って売る自動車メーカー各社も大変だが、そこに部品を供給する階層構造のサプライヤーもみな苦しい。本来、自動車メーカーとサプライヤーは一蓮托生の関係。野球チームの監督が自軍の選手を大事にするように、メーカーもまたサプライヤーを大事にせざるを得ない。

自動車メーカーが目下、頭を悩ませるのが工場の稼働停止だ(筆者撮影)

 そもそもクルマを構成する部品のひとつひとつによって、クルマの性能と価格は決まるのだから、そこにこれだけの部品不足、資材高騰が降りかかったとすれば、メーカーとサプライヤーは一体となって防戦していくのは当然の流れだろう。問題は自動車メーカーとサプライヤーの間でその構造が近似しつつも、相違点もあるところだ。まずは図をご覧いただきたい。

部品不足、円安、エネルギー高騰の影響は、どこにどう現れるのか?

 こうして比べると明らかだが、自動車メーカーにとっても、部品不足も円安も決してありがたくはない。しかし、現実の話として浮かぶ瀬もある。図の黄色い部分は、メリットが想定できる部分だ。ただでさえ足りないクルマの争奪戦なので、まず値引きの必要がない。そして売り物もないのに宣伝すると公正取引委員会に厳しいご指導を賜ってしまうので、宣伝も自粛だ。販促費と広告費がともに浮く。一方で、サプライヤーの状況を見るとほぼ救いがない。そこがメーカーとサプライヤーの非対称なポイントである。

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