クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

トヨタは、1800億円の部品代高騰をどうやって乗り切ったのか 原価改善のファインプレー池田直渡「週刊モータージャーナル」(1/4 ページ)

» 2021年11月15日 07時00分 公開
[池田直渡ITmedia]

 すでにお聞き及びの通り、上半期決算でトヨタが過去最高益を記録した。ほんの2カ月前には、部品不足による生産調整で40万台規模の追加減産のニュースが飛び交ったにもかかわらずにだ。筆者も「さすがに今回は厳しいだろう」と考えていたのだが、話があまりにも変わって、少々頭の切り替えが追いつかない。一体トヨタはどうなっているのか?

トヨタ自動車の21年4-6月連結販売台数(トヨタ決算資料より)

 まずは概要の数字からおさらいしよう。

  • 販売台数 409万4000台(昨対 プラス100万8000台)
  • 営業収益 15兆4812億円(昨対 プラス4兆1060億円)
  • 営業利益 1兆7474億円(昨対 プラス1兆2274億円 利益率11.3%)
  • 税引き前利益 2兆1440億円(昨対 プラス1兆4152億円 )

 まずは数字の意味を見ていく。昨年の上半期はまさに世界がコロナショックに飲み込まれた時期であり、多くのエコノミストは、自動車メーカーの赤字転落を予測していた。その中でトヨタは期首に「5000億円の黒字を出す」と不退転の宣言をして、世間を驚かせた。

 うっかりすると通期売上高30兆円、同利益3兆円近くを叩(たた)き出しかねないトヨタが5000億円に目標を定めた辺りに、事態の深刻さが見て取れる。それでも「本当にそんなことが可能なのか」と思わせる目標だった。それを昨年上半期の見通しでは1兆3000億円に上方修正してきたことは更なる驚きを呼んだ。

 いくら事前の見立てを大幅にクリアしたとはいえ、コロナ直撃期の数字である。例年に比べれば厳しくて当然。昨年の上半期実績は、極端な向かい風の参考記録のようなものだった。その昨年上半期との比較で見るならば、今年の上半期は全ての項目が大幅にプラスになることは不思議ではない。どこまで本来のトヨタに戻ったかをチェックするためには、一昨年のデータと比較しなくてはならない。

 その数字こそが右端にある棒グラフである。販売台数を見る限り、ざっくり88%のラインまで戻ってきている。そういう意味ではさしものトヨタもまだ本調子とはいえないかに見える

 しかし、その先の数字を見ると話が違ってくる。営業収益では、15兆4812億円と、すでにコロナ以前の数値15兆3582億円をわずかとはいえ凌駕(りょうが)している。営業利益ではさらに拡大し、1兆3992億円から1兆7474億円に。営業利益率(9.1%→11.3%)と税引き前利益(1兆6218億円→2兆1440億円)は最早圧倒的。何かの間違いではないかと思うほどコロナ以前のデータを突き放している。

売り上げ、利益ともにコロナ以前をすでに超えた(トヨタ決算資料より)
       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.