クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

三菱の厳しすぎる現実 国内乗用車メーカー7社の決算(後編)池田直渡「週刊モータージャーナル」(1/4 ページ)

» 2021年06月07日 07時00分 公開
[池田直渡ITmedia]

 5月初旬に各社から発表された通期決算の結果を比較してみる本企画、前半ではトヨタ、日産、ホンダの3社を分析した。後編ではスズキ、マツダ、スバル、三菱を分析してみよう。

国内自動車メーカー7社の売上高(単位:億円)

良い形で戦いきったスバル

 スバルの決算は減収減益ではあったが、これまで散々述べてきた通り、人類史上希に見る災厄といえるコロナ禍での決算である。売上高は2020年3月期に対して5139億円減の2兆8302億円と15%以上のダウン。利益は20年3月期から1079億円ダウンの1025億円だ。

2020-2021のカーオブザイヤーも受賞した、スバルのレヴォーグ

 筆者はよくぞここで押しとどめたと評価したい。コロナ禍の影響によるサプライチェーンの毀損(きそん)、特に半導体の不足は4月からの新年度にもマイナスの影響が予測されるが、それは世界中ほぼ同条件。スバルの場合、頼みの綱である北米マーケットでの新車販売が好調であることから、他社比較ではおそらく損害は軽微であると思われる。

 原材料不足と需要増が同時に起きた場合、メーカーでは当然利益率の高いクルマを優先して作ることになるだろうから、そこでの穴埋めも可能だろう。

 やはりグローバルマーケットの中でも米国の打たれ強さはちょっと別格である。米欧中という世界の3大マーケットの中でどれか1つを選ばねばならないとすればやはり米国なのだ。という意味では、北米一本足と揶揄(やゆ)されようが、中国一本足とは安定感が違う。そこのところでスバルは恵まれていると思う。

 22年には、トヨタとの協業モデルの投入が実現すると目されている。すでに名前が発表されたEVのソルテラのみならず、トヨタのハイブリッドシステムを搭載するストロングハイブリッドの登場も期待できる。年度ごとに厳しさを増す北米のZEV(ゼロエミッションビークル)規制や、各地域のCAFE準拠規制への対処を始めないと、炭素クレジットの支払いに追われることになる。

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