旧暦6月30日に当たる7月28日、南城市奥武島でスク漁に出る船に乗せてもらった。漁師たちと一緒に海面に目を凝らしたが、1時間が過ぎてもスクは一匹も姿を現さない。この船は6月の大潮の時も5日間漁に出たが、収穫はゼロだったという。漁師の嶺井幸和さん(40)は首をかしげながらつぶやいた。「7、8年前はほぼ100%で取れたのに、なぜ…」
スクは6〜7月の大潮の時期、沿岸の藻を追い求めて群れで寄ってくる。藻を食べ始める前のスクは1キロ約5千円の高値で売れることもあり、漁師は年に数回の「海のボーナス」を求めて海に出る。
だが、ここ数年は不漁続き。ある漁師は「今年は最悪。コロナ禍に軽石漂着の影響もあって挽回しないといけないのに大変だ」と窮状を訴えた。
スクの水揚げ量減少の影響は、スクガラスの製造や飲食店にも広がっている。
県産スクガラスの製造・販売を手がける豊見城市の大城海産物加工所では昨年からスクの入荷がなく、商品を作れない。大城真理子社長は「今ある在庫がなくなれば新たに出せる商品がない」と話した。
スクはなぜ減っているのか。漁師らは地球温暖化や水質の悪化、護岸整備による地形の変化などが影響していると推測するが、実のところはよく分かっていない。
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