日本の会社も“他人事”ではない トランプ前大統領のスパイ容疑世界を読み解くニュース・サロン(3/5 ページ)

» 2022年08月18日 08時22分 公開
[山田敏弘ITmedia]

トランプ氏の怪しい動きとは

 というのも、トランプ氏の動きに怪しい部分があるからだ。そもそもなぜ公文書記録管理局から15箱の段ボールを返した時点で、他の書類も戻さなかったのか。それが意図的ではなかったのか、といった疑念が生まれるのはしょうがない。

 特に大統領退任後も、トランプ氏は他国の関係者らとやり取りなどをしていることもあって、下手をすれば、トップシークレットがそうした国外の人たちに渡ってしまう可能性もある。もし書類をデジタル化し、セキュリティが破られれば、懸念国の政府系ハッカーなどから一瞬で盗まれてしまうかもしれない。

重要なデータが漏えいする危険も(画像イメージ)

 さらに付け加えると、トランプ氏は自宅にあった機密文書は、自分が「機密解除したものだ」とも主張しているという。ということは、これらの文書は機密だと分かっていて所有していたことになる。実は大統領には、機密の解除を行う権限があり、トランプ氏も大統領任期中に解除する力はあったが、本当に機密解除していたかどうかは怪しいとみられている。今後この部分は明確になるだろう。

 少なくとも機密情報を隠し持っていたことは事実であり、この点はさらに糾弾されていく可能性がある。特にトランプ氏は、22年11月の中間選挙の前に、24年大統領選への出馬を発表する可能性があると、いくつもの米メディアは報じている。そんな時期に、邸宅が家宅捜索され、これから訴追されるようなことがあれば、大きなダメージになるだろう。

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