4月5日、東京商工リサーチが、「人手不足」関連倒産が前年度から28.6%増の400件となって過去最多だと発表した。
という話を耳にすると、「そら見たことか、一刻も早く外国人労働者をジャンジャン投入しろ!」とドヤ顔で主張される方も多いことだろう。
あるいは先日、子どもたちへの謝罪が話題となった五島勉氏の『ノストラダムスの大予言』ばりに、「このまま人手不足が進行すると日本が滅びる!」という恐怖にとらわれて眠れぬ夜を送っている、という方もおられるかもしれない。
いずれにせよ、日本の「人手不足」というものが、いよいよのっぴきならない状況になった、と危機感を抱く方が大半なのではないか。ただ、筆者の感想はちょっと違う。危機感を抱くのはまったく同じなのだが、その中身は180度逆なのだ。
このニュースをネガティブに受け取る方が多いことは、「人手不足=悪いこと」と信じられており、「人手不足倒産」は社会全体で避ける「悲劇」だと思われているということだ。
これはかなりマズい。
「人手不足=悪いこと」なので、「人手不足」を招く「賃上げ」も「悪」とされてしまうからだ。
賃金が上がらないと、先進国で最下位の労働生産性はいつまでたっても上がらない。それは低賃金労働者を拠りどころとした「低価格・高品質」競争が続くことでもあるので、日本のデフレ脱却は夢のまた夢ということだ。
つまり、「人手不足=悪いこと」という常識が続く限り、日本に明るい未来は訪れないということだ。
「はあ? 日本中が人口減少で働き手がいなくて困っているのに、そんなワケのわからぬイチャモンをつけるような反日ヤローは今すぐ日本から出て行きやがれ!」という愛国心溢れる方たちからの罵詈雑言が飛んできそうだが、そもそも「人手不足」と、今の日本が直面している「人口減少」はそこまで大きな因果関係はない。
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