ただ割合だけでみると、単身世帯が9割ほど水道料金を免除されるにもかかわらず、家族世帯は4割ほどの免除に留まっている点で不平等にも思える。
しかし今回免除の対象となった「基本料金」とは、水道施設の維持管理のために使用水量にかかわらず利用者が負担する性質のものだ。したがって、単身世帯はその基本利用金を平時は1人で負担している反面、上記の3人家族の例では基本料金を家族3人で分け合っているとみることもできるだろう。
さらに、水道の従量部分に減免措置を加えてしまうと、水道をよく使う世帯の減免効果が最大化されてしまい、かえって不平等な結果を招いてしまう。ややもすれば、わざと大量の水を利用するといったモラルハザード的な利用者が出現するリスクもある。
以上のことから、基本料金に絞った給付は、平時に基本料金を多くの割合で支払っており、特に生活に困窮していて使用水量を絞らざるを得ない世帯への実質的な給付効果が最大化されることになるため、効率的な支援策であるといえるのではないだろうか。
このように、公共料金の基本料金の減免は見た目以上に公平で目に見える効果がある。
公共料金のような支出を減免することで実質的に給付を行う手法は、これまで国が行なってきた現金やクーポンの支給と比較しても、はるかに効率的であるといえるだろう。
21年末には18歳以下を対象とした10万円相当の給付について、5万円の現金給付を行ったのちに5万円相当のクーポンを支給するための事務経費が、1200億円の見積となったことが問題視された。
現金給付のみであれば300億円程度の事務経費で済むことから、全国1741の自治体の中でクーポン支給を選択したのは7自治体しかなかった。それでも現金を振り込むだけで数百億円もの事務経費がかかったことには変わりない。
水道は、公衆衛生向上のためのツールの1つでもあり、コロナ禍の中で入浴や手洗い、うがいといった感染予防のために必要不可欠な公共インフラであるといえよう。そういった観点からも、地方自治体が水道というインフラの基本料金に着目して減免施策を行うことは家計支援と併せて一石二鳥であるといえるのではないか。
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