円安で「約40年ぶりの物価暴騰」、上がり続ける負担への対処法は古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(1/2 ページ)

» 2022年04月15日 07時00分 公開
[古田拓也ITmedia]

 急激に進む円安が未だに止まる気配がない。4月13日のドル円相場は、1ドルあたり126.3円台まで急騰した。1ドル125円前後の水準は、2015年から「黒田ライン」と呼ばれており、日銀・財務省の金融及び為替政策における事実上の限界値とも認識されていたものだ。

 12日には、この度の円安とインフレが、企業の収益性を蝕(むしば)みつつあることを示す統計が公表された。

 日本銀行によれば、21年度の国内企業物価指数が39年ぶりの水準となる107.5を記録した。日銀が消費者物価について年率2%程度の物価上昇をターゲットとするなか、企業における物価は前年比で7.3%も上昇していることが分かった。22年度になってからもわずか2週間で2.5%近く円安が進行していることから、とりわけ輸入や海外に開発拠点などを有する企業にとってはさらに傷口が深まっていきそうだ。

“日本円の購買力”が最低値を更新

 そして、企業が自社努力によって内側の物価上昇を吸収できなくなった時、消費者がスーパーで購入する食品や衣類などさまざまな製品が値上げされることになる。すでに22年の4月までに、小麦製品などをはじめとしたさまざまな製品が値上げされることが決まったが、これらの製品の値上げが決定されるまでにはタイムラグがある。

 例えば、日清食品は22年2月3日に、カップヌードルなど180品目を22年6月に値上げすることを発表したが、この時点では小麦のさらなる値上げを引き起こしたウクライナ危機は発生していないし、ドル円相場も115円だった。当時のシカゴ小麦先物は800ドルで、足元の1100ドルと比較して27%も低い値段の時に値上げの意思決定がなされたのである。

 そうすると、今の値上げラッシュには足元の円安とウクライナ危機などの物価上昇イベントが十分に織り込まれているとはいえない。今後もさらなる値上げが、波状の如(ごと)く押し寄せてくる危険性がある。

 それでは、上がり続ける値段への対処法にはどのようなものがあるのだろうか。一般的には輸出などで外貨を獲得するという対処法もあるが、直ちに全ての会社が輸出業者へピボットすることは難しいだろう。そこで今回は事業の大筋を変えずに対処できる2点を紹介したい。

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