「100円ショップに300円、500円の商品が並ぶ」「回転寿司で200円以上の高単価寿司が増える」「セブンやローソンの100円コーヒーも値上げ」――。
これまで「100円」を切り口に支持を集めていた業態や商品が、次々と「脱100円」にかじを切りだしました。100円業態は世の中から消えてしまうのか。そもそも100円で買えるということに価値はあるのか。100円玉を握りしめて店に買い物に行くシーンは減りつつありますが、これからの100円業態はどうなっていくのでしょうか。
小売り・サービス業のコンサルティングを30年間続けてきたムガマエ株式会社代表の岩崎剛幸が分析していきます。
2022年5月、私は「ふさわしくない」は的外れ 100円ショップやワークマンの「銀座」進出が歴史的必然なワケ」という記事を書きました。
ダイソー、3COINS、セリアといった、いわゆる100円ショップが銀座に相次いで出店していて、今や銀座は100円ショップが席巻する街になっているという話です。中でも、大創産業は3業態を一度に銀座に出店しました。ダイソー以外の2業態は、100円ショップではありません。300円ショップ業態の「スタンダードプロダクツ」と、300円や500円商品が中心の大人向け雑貨業態の「スリーピー」でした。
100円ではない業態にもたくさんのお客さんが押し寄せている光景を見て、「もう100円でなくてもいいんだ」と私は感じました。さらに、4月に西銀座デパートに出店した「3COINS+plus」では、1000円や1500円の商品も取り扱っています。
「もう100円にこだわって購入している人はいないのではないか?」と、ふと思ったのです。
実際に100円ショップ大手4社のうちで、明確に「100円しか扱わない」と宣言しているのはセリアのみ。他3社(大創産業、キャンドゥ、ワッツ)は、すでに高価格帯商品を導入しています。100円で値付けしていた物を値上げしているケースはまだほとんどありませんが、今後はそのような商品も増えてくる可能性があります。これからの100円ショップは、低価格雑貨店という呼び方がふさわしい業態になるかもしれません。
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