西九州新幹線に乗ろう! 新鳥栖〜武雄温泉間のフル規格新幹線はなくてもいいから杉山淳一の「週刊鉄道経済」(2/5 ページ)

» 2022年09月03日 08時00分 公開
[杉山淳一ITmedia]

開業日の列車はまだまだ空席アリ

 なるべく早く乗りたい。一番列車に乗りたいという気持ちは分かるけれど、開業当日に乗りたければ、まだまだ余裕で間に合う。新幹線かもめの車両編成は指定席が158席、自由席が233席で、自由席の比率が高い。「遅い時間に乗るより自由席でも早く」という人が多いかもしれない。

 9月23日の長崎の日没は18時17分で、日没後30分は明るいとはいえ、車窓を楽しめない時間帯の列車は不人気だ。それにしても開業初日にしては寂しい。指定席争奪戦の報道で盛り上がっていると思ったけれど、拍子抜けだ。

 私はこの日、日本全国の旅客鉄道路線完乗のタイトルを剥奪されるわけで、いち早く乗りに行ってタイトルを奪還したい。同好の諸氏も一番列車にチャレンジしたはず。

 私は喧噪が苦手だから、後日、落ち着いた頃に行こうと思っていた。ところが空席状況を見れば、当日の午後には落ち着いてしまいそうだ。なぁんだ。やっぱり出掛けてみようかという気分になった。

西九州新幹線の使用車両は「N700S」東海道新幹線の最新型をベースとしている。普通車は4列シート(出典:JR九州、報道資料)

 気になるところは、9月23日が祝日で、その夕方の上り列車が空席になっている点だ。福岡方面の方々が長崎を観光して帰る時間に空いている。休日の新幹線かもめにとって主要顧客は観光客だ。三連休の初日だから空いているのかと思って、三連休の最終日、9月25日日曜日も調べたら空いている。

【訂正】9月6日10時00分:初出時「9月24日日曜日」としていましたが、正しくは「25日」になります。

 ビジネス用途としてはどうか。平日である9月25日を見ると、武雄温泉発11時1分のかもめ17号が「残席わずか」となっている。この列車は博多駅10時4分発の「リレーかもめ17号」から乗り継げる。用向きにはちょうど良い列車かもしれない。これ以外は空席ありだ。

 もっとも、こうした状況は現行の「在来線かもめ」と同じだから、自由席で十分だと考える人が多いかもしれない。とはいえ、一番列車の盛り上がりが長続きしないようでは、「順風満帆」とはいえない。新幹線が通れば勝手に乗客が増えるわけもなく、継続的な集客の取り組みが必要だ。

西九州新幹線、開業日の下り時刻表。80番台号は臨時列車(出典:JR九州)
西九州新幹線、開業日の上り時刻表。80番台号は臨時列車(出典:JR九州)
西九州新幹線、開業日の時刻表を元にダイヤグラムを筆者が作成

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