西九州新幹線に乗ろう! 新鳥栖〜武雄温泉間のフル規格新幹線はなくてもいいから杉山淳一の「週刊鉄道経済」(3/5 ページ)

» 2022年09月03日 08時00分 公開
[杉山淳一ITmedia]

長崎観光プランを立てたら、佐賀県は通らなくても良かった

 西九州新幹線に乗る計画を立ててみた。私が住む関東から最短時間だと日帰りで済む。羽田空港発で朝出発の飛行機に乗り、長崎空港からバスで長崎駅前に10時ごろに着く。長崎駅10時43分のかもめ20号と、武雄温泉駅11時58分発のかもめ21号で往復すれば、午後の航空便で明るいうちに羽田空港着だ。

 それでは味気ないから、西九州新幹線開業と同時に運航を開始する観光列車「ふたつ星4047」に乗ろう。長崎駅14時53分発で武雄温泉駅17時45分着。18時ちょうどの「かもめ45号」に乗ると長崎駅着18時25分。バスで空港に向かえば最終便に間に合う。観光要素がちっともなくて、鉄道ファンでなければ理解できない旅だ。

 もっとも、私は長崎を3回ほど訪れて主要観光地は巡ってしまったし、路面電車もすべて乗ってしまった。トーマス・グラバーが江戸時代に日本で初めて小型蒸気機関車を走らせた「我が国鉄道発祥の地」も拝んだ。雑誌の取材にかこつけて豪華な卓袱料理(しっぽくりょうり)もいただいたから、もはや長崎観光に未練はない。風呂屋(銭湯)の孫でありながら温泉のこだわりもなく、武雄温泉の関心は薄い。

 ところが、老母の「私も行きたい。九州に行ったことがないから」のひと言で状況が変わった。連れて行くとなれば主要観光地を巡るべき。武雄温泉に行ったら温泉旅館に泊まるべき。「これが最後かも」と思うから、「ちゃんとした旅(笑)」にしよう。そんな話を母方の叔父夫婦に話したら、一緒に行ってみたいという。嫁いだ娘ふたりの家族もどうだろう。みんなで行くなら孫たちが小さいうち……となって、ちょっとした団体旅行になりそうだ。

 子どもたちが行くとなれば土日の1泊2日。そこで、土曜の初便で長崎へ。昼食は卓袱料理。その後、観光列車「ふたつ星4047」で武雄温泉へ。この列車は武雄温泉発が有明海沿い、長崎発が大村湾沿いを走る。このうち、私は大村湾ルートの車窓をオススメする。

 そして武雄温泉で泊まる。翌日は武雄温泉駅10時発のかもめ13号で長崎へ。長崎市内観光には「定期観光バス 長崎よかとこコース」があって、約5時間で原爆資料館、平和公園、出島、長崎孔子廟、大浦天主堂とグラバー園を巡る。終了後、空港バスで長崎空港へ。ナイトフライトで羽田着。

 子どもたちは早朝出発がツライかもしれない。ならば金曜日の学校終了後に長崎へ飛び、前泊するオプションもある。その場合、長崎の夜を楽しもうではないか。稲佐山で夜景を見るという定番コースも加わる。「どうですか。完璧じゃありませんか」と提案中だ。

 このルートは我ながら良くできたと思ってここで紹介したけれど、そこで私は気付いてしまった。「九州新幹線の西九州ルート、佐賀県の武雄温泉〜鳥栖間はいらない」と。

西九州新幹線と同日にデビューする在来線観光列車「ふたつ星4047」(出典:JR九州、報道資料)
「ふたつ星4047」長崎発武雄温泉行きは大村線ルート(赤)、武雄温泉発長崎行きは長崎本線ルート(青)(出典:JR九州、報道資料)

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