日本では表向きは、高級クラブのホステスもキャバクラ嬢も、そして舞妓も「レベルの高い接客サービス」で男性を満足させるものであって、性的被害は受けないとされている。時折この女性のようにセクハラ的なことや性的搾取を告発すると、ボロカスに叩かれる。「そういうもんだと、分かっているだろ」と。
実は香川さんの問題が発覚してからも同様のムードが盛り上がっていた。新潮の報道があった当初、「香川さんは被害者」論が盛り上がっていた。SNSではこんな主張があふれていた。
「なんで3年前の話がこのタイミングで出るんだ? 何か裏のある話では?」
「これは店が悪い、銀座の高級クラブのホステスはこういうタチの悪い客をうまくかわすのが仕事だろ」
「香川さんのような有名人がハメを外せて、こんな話が表にでないのが銀座なんじゃないの? もう銀座も終わったな」
有名人も辛辣(しんらつ)な意見を言う人もいた。例えば、元2ちゃんねる管理人のひろゆき氏は、自身のTwitterでこんな持論をツイートした。
「キャバクラなど風俗は、性的被害や嫌な思いをする事で高い給料が貰える仕事です。セクハラが嫌なら風俗で働くべきではないです」「『他の仕事が出来ないので選択肢が無い』という人は生活保護をどうぞ。『キャバクラで働いても性的な被害を受けない』というのは嘘です」
もちろん、これには賛否両論だが、いずれにしても当初は、「有名人が酔って銀座の高級クラブのホステスに荒っぽいことしてもそんなに厳しい社会的制裁を受けなくてもいいじゃないの?」というムードもそれなりに強かったのだ。
だから、トヨタとしてはこのムードを「注視」という選択をしたのではないか。香川さんがやったことを「社会的に許されざる行為」だと認めながら、どうにか「許す」という方向に落ち着くことを待望していたのである。
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