「みんなに知ってほしいから、やってみた」――。映画上映中のスマートフォン操作を控えるよう呼び掛けるイオンシネマのTwitter投稿が反響を呼んでいる。社員が閉館後の館内で実験し、暗闇の中でスマホ画面から強烈な光を発する様子を写した画像も公開した。実際に「実演」して注意喚起するのは初めての試みで、映画館ならではの「鑑賞価値」をいかに高めるかという課題意識が背景にあるという。
「予想以上の反響に驚くとともに、改めて学んだことがたくさんあります」
こう話すのは、イオンシネマを運営するイオンエンターテイメント(東京都港区)広報グループの中村忍さんだ。
9月1日に発信したツイートには同6日現在、1万5000件を超える「いいね」が押され、大きな話題となっている。「すごく分かる」「光で台無しにされたことがある」――など、呼び掛けに共感する声も多数寄せられている。
同社は、閉館後のスクリーンを活用し、社員が上映中にスマホを操作し、光の影響がどれぐらい強いのか検証。「スマホの光が上映の妨げになるとの認識はありましたが、実際に検証することで、改めてこれほど光が発するんだと再認識する機会になりました」と中村さんは話す。
同社はこれまでも上映中のマナーに関して情報発信を行ってきたが、今回のように社員が「実演」して注意を呼び掛けたのは初めてだという。今回、なぜ新たな発信を試みたのか。
「今回の投稿は、映画館での『鑑賞価値』を向上させる取り組みの1つとして実施したものです。スマートフォンやスマートウォッチという光を発する機器を持ち歩くことが当たり前になった今、『鑑賞中に光って気になる』というご意見をいただくことが以前より増えてきました。そこで、上映中の光がどれだけ目立つかということを写真と一緒にツイートすることで、みなさんにご理解いただければと思い投稿しました」(中村さん)
実際に、映画館でのスマホ使用には各種のアンケート調査でも厳しい視線が向けられている。総合映画情報サイト「映画.com」が2019年に実施した「1番許せない劇場でのマナー違反」調査(9380人が回答)によると、「上映中のおしゃべり」が45.1%でトップ。次いで「暗闇でスマホをいじる」が40.8%となった。以下、「空いているのに隣に座ってくる」(7.9%)、「匂いの強い食べ物の持ち込み」(6.1%)――と続いた。
中村さんによると、このほかには「上映中に後方から座席を蹴られる」などの苦情も多少あるというが、直近では「スマホの光」に関する苦情が最も多いという。
スマホの光については「エンドロールでもスマホ操作をやめるよう告知してほしい」「何度も画面を開くなら会場から出て確認してほしい」――といったリプライ(返信)も今回のツイートに寄せられた。
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