実際に販売してみて、子どもや親はどういった反応をしたのか。とある出張販売会では、男の子と女の子がRECOシリーズの同じ色(グレーやブラウン)を背負う姿が見られた。南波氏は「同じ空間で男女が同じ色を背負っていたのが印象的でした」と振り返る。これまで見られたような「男の子だからこの色はダメ」「女の子だからこの色はダメ」と親が制止する場面がなかった。このことに、南波氏はじんわりと感動したという。
ある男の子は戦隊シリーズものが好きで、赤い服や靴を選ぶことが多かったという。本人はランドセルでも赤色を選ぼうとしたが、親は小学校でからかわれるのではないかと心配していた。そんな時、RECOシリーズのディープレッドを見て「赤色だけど、えんじ色のような、赤茶色のような、明るすぎない絶妙な色合いがいい」と購入を決断したという。
土屋鞄製造所の23年度入学モデルの注文は、9月7日で受付を終了している(一部シリーズを除く)。南波氏は今後の展望について、RECOシリーズの色の種類を増やしていきたいと語る。より多くの色をそろえることで、幅広いニーズに対応するのが目的だ。
ジェンダーレスをうたうランドセルを展開しているのは土屋鞄製造所だけではない。例えば、イオンでは性別にとらわれずデザインが選択できるモデルを強化している。
学校で着用する制服や水着でも、ジェンダーレス対応のモデルが注目されるようになってきている。根底にあるのは、子どもたちの選択肢を増やそうという配慮だ。ランドセル選びでもこの傾向は定着していくだろうか。
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