リテール大革命

デジタル化で「うまくいった」「失敗に終わった」 飲食店の決定的な差石角友愛とめぐる、米国リテール最前線(5/6 ページ)

» 2022年09月23日 07時00分 公開
[石角友愛ITmedia]

 エバシスのエスプレッソマシンを使うことのメリットを紹介します。

バリスタレベルのクオリティー

タンピングや蒸らし時間、豆の粒度、湯量といった要素をバリスタ自身が設定してマシンに覚え込ませることで、マシンにバリスタと同様のクオリティーを再現できる。

コスト削減

全自動でクオリティーの高いコーヒーを抽出できるため、新人のトレーニングや人的ミス、業務効率の低下によって生じうる人件費の削減を実現できる。

生産性

1平方センチあたりのコーヒー生産量は市場最高レベルを誇る。

一貫性

バリスタが設定した要素が常に全自動で再現されるため、出来上がったコーヒーの品質は常に一定に保たれる。コーヒー豆のロスも削減できる。

Eフォーム

スチームとエアーの両方を導入したe'foam(Eフォーム)という技術によって、バリスタにとって最も難しい作業の一つとされるミルクの泡立てを自動化。バリスタはラテアートなどのクリエイティブな作業に注力できる。

省スペース

限られたスペースで基準を満たしたコーヒーを大量に抽出できる。

パフォーマンスの遠隔測定

マシンのパフォーマンスパラメーターがクラウド上で一括管理されるため、関係者が店舗ごとのマシン設定や稼働状況などを一元的かつリアルタイムにモニタリング・管理・調節することができる。また、時間ごと、日ごと、月ごとの生産性、技術性能、飲料のプロファイルなどの詳細なデータも取得できるため、メンテナンスや故障予防に役立てられる。

Eクリーン

営業終了後のクリーニングが、ボタン一つで約10分という短時間で完了。マシン本体のクリーニングは専用のクリーニングボールを使用して行うが、1カ月分を入れておけるため、交換の手間も少ない。

エバシスのイメージ図(画像は公式サイトより)

 通常、カフェの接客で一番のボトルネックになるのがエスプレッソドリンク(ラテやマキアート、モカなど)を作る工程です。

 豆をひき、エスプレッソ液を抽出し、ミルクを泡立て、混ぜる……。こうした多岐にわたる工程が必要なため、バリスタの腕やその日のコンディション次第で味に大きな差が出てしまったり、接客に時間を割くのが難しくなったりしてしまうケースがあります。そこでBlank Street Coffeeでは、マシンを導入し、ミルクを注ぐ以外の工程を完全に自動化し、バリスタや従業員が顧客対応や窓口の役割などに時間を割けるようにしています。

 もちろん、コーヒーにこだわりがある層には、自動マシンで作られたラテを飲むことに違和感を覚える声もあがっています。しかし、一杯のラテが6ドル、7ドルすることも珍しくない今日、「ちょうどいい価格と味」でおいしいラテが気軽に飲めるカフェとして、多くの顧客に支持されています。

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