KADOKAWAの角川歴彦会長ら辞任 “五輪汚職”事件で ガバナンス検証委設置へ

» 2022年10月05日 17時36分 公開
[ITmedia]

 いわゆる“五輪汚職”事件を巡り、KADOKAWAは10月5日、角川歴彦(かどかわ・つぐひこ)会長らが辞任すると発表した。角川会長本人から辞任の申し出があったといい、取締役会で承認された。ただ、取締役の役職については株主総会の承認が必要であることから、現時点では留任するという。

photo KADOKAWAの角川歴彦会長(出典:角川文化振興財団の公式Webサイト)

 辞任するのは角川会長に加え、松原眞樹(まつばら・まさき)副会長の2人。それぞれから辞任の意向があったという。

photo プレスリリース

 一方で9月6日に逮捕された、元専務の芳原世幸(よしはら・としゆき)顧問と、元2021年室室長の馬庭教二(まにわ・きょうじ)氏の2人の幹部については、現時点でも役職に就いたままとなっている。2氏は現職が取締役ではないことから、KADOKAWA広報は「社内で検討し、処遇を決定する」と回答している。

 電通元専務で、東京五輪・パラリンピック組織委員会(五輪組織委)の高橋治之元理事とAOKIによる汚職事件に関し、KADOKAWAは高橋氏に7000万円を支払ったとされており、角川会長は9月14日に東京地検特捜部に逮捕され、10月4日に起訴されていた。

 同社は「関係するすべての皆様に、多大なるご心配とご迷惑をおかけし、重ねて深くおわび申し上げる」「役職員の贈賄罪の成否及びこれを基礎づける事実関係は、今後、司法の場に委ねられることになるが、当社は、役職員の逮捕、起訴に至ったことを厳粛に受け止めている」とし、関係各所に謝罪している。

 一連の事件を踏まえ、同社は利害関係を有しない、外部の専門家を中心にしたガバナンス検証委員会を設置したことも併せて発表した。委員長には中村直人弁護士(中村・角田・松本法律事務所所属)が就任する。

 同社は「事実関係の調査、本件を生じさせた当社のガバナンス、内部統制を含めた根本的な原因の究明に加え、再発防止策の提言を目的としている」と検証委設置の意図を説明。検証委の報告に基づき「コンプライアンスの順守、ガバナンスの改善、強化に向けて取り組む」としている。検証委のメンバーはKADOKAWA公式Webサイトで公開している。

 「当社は、引き続き当局の捜査に協力するとともに、今後の信頼回復に向けて努める」

photo KADOKAWAのオフィス

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