仕事はデキるが、部下はげっそり──「精神的パワハラ」を繰り返す上司はなぜ生まれるのか?パワハラ=体育会系だけではない(4/4 ページ)

» 2022年10月13日 07時00分 公開
[大槻智之ITmedia]
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管理職への昇進にハラスメントの要素を入れる

 このように、パワハラは体育会系だけがやるわけではなく、文化系でも行う可能性があります。ここでまず認識しておかなければならないのは、パワハラに対する社会常識やルールが大きく変わっていることをあらためて認識するということです。

 国際労働機関(ILO)は、仕事と関わる暴力やハラスメントを全面的に禁止し、撤廃するための国際条約を2019年6月21日に採択しています。日本でもいわゆるパワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)が成立し、大企業では20年6月1日から、中小企業は22年4月1日から施行されています。

文化系 パワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)が成立

 このようなことからも“ハラスメントが蔓延している会社”などという評判が立ってしまうと、社会的評価を落とすことになり、消費者にも支持されなくなるかもしれません。また、現社員の士気低下だけではなく、新規採用に悪影響を及ぼす可能性が高くなります。

 日本ではメンバーシップ型の雇用慣行を背景として、会社の人間関係が非常に近く家族や友人の距離感と同様の距離感で接しているため、いつの間にかハラスメント化しているケースもあるのです。このような職場環境でいかにしてハラスメント防止の対応を取るのかがカギとなります。

文化系 会社の人間関係が非常に近いからこそ、ハラスメント防止をすべき

 それには定期的なモニタリングによる実態把握と、教育の徹底、実効性のある通報窓口の設置は必須でしょう。また、マネージャーなどの管理職への昇進条件にハラスメント有無の要素を入れることをお勧めします。昇進対象者の選抜にあたって、上司による評価だけではなく、同僚や部下からの評価や評判もふまえて選ぶ360度評価の導入や降格制度を合わせて導入することもお勧めです。ハラスメントのない働きやすい会社を作りましょう!

著者紹介:大槻智之

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1972年4月、東京生まれ。2010年3月、明治大学大学院経営学研究科経営学専攻博士前期課程修了。経営学修士。特定社会保険労務士、傾聴アソシエ、採用定着士、ジョブオペ認定コンサルタント、仕組み経営コーチ、500社を超えるクライアントを抱える社会保険労務士法人・大槻経営労務管理事務所の代表社員。採用、目標管理、評価制度、業務改善、経営仕組み化支援までHR全般を手掛ける。人事担当者の交流会「オオツキMクラブ」を運営し、300社(社員総数20万人)にサービスを提供する。


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