健全化に向かうツイッターを”混乱させている”のは誰か?世界を読み解くニュース・サロン(3/4 ページ)

» 2022年11月10日 07時30分 公開
[山田敏弘ITmedia]

米国では保守VSリベラルの戦場に

 米国でツイッターは、保守VSリベラルの争いの「戦場」になってきた。もともとツイッターのあり方は近年、「表現の自由」と「ポリティカルコレクトネス」の争いで語られてきたからだ。表現の自由を求める保守勢と、ポリティカルコレクトネスを求めるリベラル勢とが、ツイッターを巡って揉めてきた。その中心にいたのが、ドナルド・トランプ前大統領であった。

 結局、トランプ側の保守勢力が押され、ツイッター上での動きを封じ込まれることになった。リベラル勢からの強いプレッシャーと批判が続き、トランプ自身のアカウントは永久凍結され、事実関係が怪しめの保守派のツイートにも注意書きがつけられるようになった。そうなると、保守勢は「リベラル左派勢力が、ツイッターから表現の自由を奪っている」と主張するようになり、Twitterを敵視し、保守派のためのSNSである「パーラー」や「Truth Social」といったアプリを使うようになった。

保守派向けのSNS「parler(パーラー)」

 そこに現れたのがマスク氏である。マスク氏は、「表現の自由」に重きを置くと宣言していて、これまでアカウントを凍結されたトランプのような人たちを復活させる可能性も語られている。早くも米国では、保守層がマスク氏の動きを歓迎しているが、リベラル勢はマスク氏の動きを厳しく批判している。

 一応、マスク氏は社内に委員会を作って、コンテンツの制限管理をしていくと述べているものの、暴言をツイートしてきたトランプのアカウントが復活するとも噂される。

 こうした政治的・イデオロギー的な争いが、今回の買収後の企業内の変化を大袈裟に吹聴し、大騒動にしているのである。

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