自治体DX最前線

このままでは手遅れになる――知られざるDX先進県・愛媛 突き動かしたのは知事の“ある危機感”2018年から推進(2/3 ページ)

» 2022年11月17日 07時00分 公開
[菊地央里子ITmedia]

プロモーションのDXに着手

 愛媛に戻った中村知事は速やかに対応を開始した。まず着手したのが、プロモーションのDXだ。デジタルマーケティングの専担部署として愛媛県庁の企画振興部政策企画局総合政策課に「プロモーション戦略室」を新設することを、トップダウンにより実行。インバウンド誘客促進(18年〜)、サイクリスト誘致促進や県産品販売促進(19年〜)の3分野に、デジタルマーケティングの手法を取り入れ始めた。

 インバウンド誘客促進では、ブランドメッセージである"Experience Ehime Japan"を伝えるキャンペーン動画を作成し配信することを決定した。動画の視聴者がキャンペーンサイトに訪れるよう、訴求力の高い動画が必要だったからだ。

dx1 「サイクリング&アウトドア編 Run through Amazing Ehime,Japan」(キャンペーンサイトより引用)
dx1 「お遍路と祈り編 Deep inside of OHENRO」(キャンペーンサイトより引用)

 そこで、動画作成に外国人クリエーターを起用し、海外目線を重視した内容に仕上げた。公開した「愛媛エクスぺリエンス編 Open your gate to Ehime,Japan」「サイクリング&アウトドア編 Run through Amazing Ehime,Japan」「食とモノづくり編 Off the grid in Ehime,Japan」「お遍路と祈り編 Deep inside of OHENRO」の4本の動画のYouTubeでの総再生回数は2140万回(11月16日時点)を突破している。

 国内外のサイクリストからのしまなみ海道の人気が高まる中、目的別に制作された既存サイトでは一定の成果が出た一方で、点での訴求しかできないことが課題であった。このため、サイクリスト誘致促進では、情報発信の核となる世界基準のポータルサイトの構築に乗り出した。

dx1 オリジナル記事(CYCLING EHIMEより引用)

 「Good cycling vacation in Ehime 〜最高のサイクリングバケーションを愛媛で〜」をブランドコンセプトに、国内外のエンジョイサイクリストをターゲットに設定。サイト名をSEO(検索エンジン最適化)にも強い「CYCLING EHIME」とした上で、サイト内ではサイクリストのレベルに適した情報をそれぞれ提供する他、ユーザー視点でのモデルルート紹介、オリジナル記事を日本語、英語、繁体字(香港、台湾、マカオなどで使用されている文字)で配信している。

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