コロナ禍により、化粧品市場は大きな打撃を受けた。インテージの調査によれば、2019年までは横ばいで推移していたが、20年は6670億円(前年比88%)と大きく落ち込み、21年もほぼ同水準となった。最大の要因はメークアップ化粧品で、20年は1661億円(前年比75%)、21年は1548億円(前年比93%)と大きく落ち込んだ。特にファンデーションや口紅など、マスクを着用すると崩れたり隠れたりしてしまうカテゴリーの落ち込みが大きくなっている。
こうした状況にあって、累計販売本数が350万本突破するほどの人気商品となっているのが、KATEの落ちにくい口紅「リップモンスター」だ。コロナ禍の21年5月に販売開始したにもかかわらず、落ちにくさとつけたての色がそのまま持続する高発色から人気を博し、わずか半年で累計出荷数120万本を突破。販売から1年たった今でも常に売り切れ状態で、店頭では入荷したそばから即完売になっている。
「もともとKATEはアイメークに強いブランドです。セルフメーク市場でアイシャドウは23年連続、アイブロウは20年連続、アイライナーは15年連続で売り上げ1位を獲得しています」と、花王の若井麻衣さん(化粧品事業部門マステージビジネスグループKATEグループ)は話す。
しかしその一方で口紅が弱く、KATEの口紅と言えばというような定番商品がない状態が長く続いていた。「口紅を強化しようと商品開発を進めていたところに、コロナ禍が直撃しました。メークに求められるものが急速に変化していくなかで、コロナ禍に求められる口紅を開発しようと方向転換しました」(若井さん)。
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