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異例の350万本突破 リップモンスターが口紅市場で“モンスター級”になれた理由KATE25周年(3/4 ページ)

» 2022年07月07日 07時00分 公開
[菊地央里子ITmedia]

コロナ禍を逆手に取ったSNS戦略

 販売に際し、社内からは「この時期に、しかも需要が減っている口紅を発売する意味があるのか」「市場に出しても売れると思えない」といった反対意見が相次いだという。「反対はもっともだと思いましたが、こういった危機こそ機会ととらえ挑戦するのがKATEというブランドです」と若井さんは振り返る。

 21年4月20日からは、販売開始に先立ち、店頭配荷(実際に店頭に並べること)とYouTubeでの情報を先出しし、評判づくりを行った。「コロナ禍でタッチアップといった実際に手に取って試す、という販促ができませんでした。そのためSNS上での体験の場を作る必要がありました」(若井さん)

KATE YouTubeでの展開(同社公式YouTubeチャンネルより引用)

 4月24〜27日には、美容系のインフルエンサーやメディアによる情報露出を実施。この時点でリップモンスターに関するツイートに対して、8093リツイート、6.6万いいねを獲得。SNS上での認知度向上と体験を拡大していった。

 発売日の5月1日からはTikTok施策を実施した。インフルエンサーがマスクを外すと音楽に合わせてリップの色が変化し、画面上にはブランドと商品のロゴ、使用したリップの色名と色番を表示する。この約15秒の動画広告は、リップモンスターがターゲットとしていた若年層を中心に人気を博し、ブランドの知名度向上に貢献した。

 「このTikTok施策でポイントとなったのが、色名です。定番14色の商品名は、使った時の気持ちや体験に着目し名付けたのですが、『ラスボス』や『2:00AM』など、#をつけてつぶやきたくなるような言葉を選びました」(若井さん)

KATE #をつけてつぶやきたくなるような色名(同社提供)

 リップモンスターの人気は、若年層からその親世代までに広がり、幅広い顧客を獲得。21年のベストコスメ賞を46部門で受賞した他、口紅で初のシェアナンバー1を獲得し、全メーク市場でナンバー1ブランドとなった。

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