ドリンク用テークアウト容器のシェアリングサービス「Re&Go」が2020年12月〜21年2月に実施した実証実験がおもしろい結果を示している。
使い捨てプラスチックカップとリユースカップの1回利用当たりのCO2排出量を比較した際に、リユースカップの方が多い場合もあるという結果が出たのだ。調査結果には「リユースカップを100回、もしくはそれ以上の回数利用してやっと、使い捨てプラスチックカップ1回当たりのCO2排出量と同等になる」といった内容が記載されている。
リユースカップは、洗って何度も使えるから「環境にいい」というイメージを持つ消費者には驚きの結果だろう。結果だけ見ると、「プラスチックカップを使った方がエコ」と言えてしまいそうだが、そう判断するのは早計だ。
1回使用に限った比較ではCO2排出量が多くなってしまうが、リユースカップを使い続けることで排出量は逆転する。もちろん、それ以外にも評価すべき点があるのだ。
まず、機能面での利点として保温性が挙げられる。ステンレスの二重構造を採用したリユースカップとなっているため、提供されたドリンクの温度を長時間保つことができる。その他、Re&Goのリユースカップは飲み終えた後、対象店舗に設置された回収ボックスに戻すだけでいいため、マイボトルと比べて洗浄が必要ない点もメリットと言える。
環境面ではどうだろうか。Re&Goプロジェクトのリーダー、吉村祐一さんは「容器ごみの排出量減」を挙げる。洗って繰り返し利用できるのが、最終的に焼却処分されてしまう紙容器や紙プラ混合容器よりも優れている点だという。
伊藤忠紙パルプが発表した報告書によると、飲料用カップの年間使用量は39.1億杯で、うちプラスチックカップは14.2億杯(コンビニ8.6億杯、ファストフード1.1億杯、コーヒーチェーン店4.4億杯)に上る。そのほとんどが再利用されず、廃棄され焼却処分されるのが現状だ。
Re&Goプロジェクトは現在、東京都内で実証実験を実施している。「11月現在、約3万個のカップを削減できています。23年春までに累計約5万個のカップを削減できる見込みです」(吉村さん)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング