優れた保温性を実現しているのが、特許取得の特殊構造だ。東洋医学では「冷え改善のツボ」と呼ばれる、くるぶしから指4本分上の足つぼ「三陰交」を刺激することで、血行が良くなり、身体が温まるといわれている。このため、こたつソックスでは部位ごとに編み方を変え、特に足首部分は三陰交を温熱刺激できる設計を採用している。
足の冷えを防ぐには、優れた保温性も欠かせない。足先からふくらはぎまでは独自開発の特殊保温素材を、足首の三陰交部分には発熱素材をそれぞれ使用。温熱刺激する構造で足首部分を温め、その温度を保温するような構造となっている。ふわふわとやわらかい素材を使い、靴下としての優れた履き心地も実現した。
一見すると、SNSでの反響や気候変化で生まれたニーズから、売り上げを伸ばしたように見えるこたつソックスだが、同社によると、他にも要因はあるという。それは7年前に行ったリブランディングだ。
実は、同製品は13年に「三陰交をあたためるソックス」として発売していた。「人々が持つ足の悩みに寄り添う」をテーマに、ユーザー調査の結果などを受けて開発した。画期的な靴下で、機能も現在のこたつソックスと同じものだったが、当時は東洋医学由来の三陰交が一般的に浸透しておらず、「どんな商品か分かりにくい」という理由で、ヒットには至らなかった。
そこで「これまで足の冷えが解決せず悩む人に、どうすれば商品の良さを分かってもらえるか」と社内のブランドチームが検討。ネーミングに課題があるとして試行錯誤の結果、「商品の特徴と機能性が1発で分かるように」との願いを込めた「まるでこたつ」というネーミングが生まれた。
ブランド名の「靴下サプリ」にちなんで、パッケージデザインはサプリメントをイメージしたものに刷新した。同社は「ネーミング・イメージを重視して靴下業界では常識外れの『商品に触れられない、見えない』というパッケージにあえて挑戦した」と説明している。
名称変更に合わせ、ターゲットも変更した。旧名称では60歳以上のシニア層をターゲットに据えていたが、新名称では30代から40代の中年層をターゲットに設定した。その後の追跡調査でも、実際にターゲットとする層が購入していることが分かり、マーケティング上の仮説が証明された。
一連のリブランディングに取り組んだところ、13年と16年の出荷数を比較すると、売り上げが17倍に増加した。SNSで話題になったことで、現在は10代や20代の若年層が購入しているケースもあるという。
好調な売り上げやSNSでの反響について同社は「口コミなどで自社では発信できない情報を発信してくれている。商品の価値が認められて、製造元としてうれしい」との受け止めを示した。
外出時にはシリーズ商品の「レッグウォーマー」「足首ウォーマー」を使用することで、ビジネスシーンでも利用できるようにしている。
同社は「在宅勤務を導入する企業が増え、冷えたフローリングの上で作業するビジネスパーソンが増えている。自宅ではソックス、外出時はレッグウォーマーと足首ウォーマーを使用し、商談などの場面に集中してもらえれば」──と、在宅での需要も見込んでいる。
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