北上市が目指すのは、「市民」「市」「職員」の三方良しのDXだ。保育園DXの事例を見ても、保育園の業務効率化にとどまらず、幅広い波及効果を生み出そうとしていることが分かる。そういった取り組みは全て、将来を見据えて“常識”を変えていくためだ。
「私は、今後のDXのカギは子育て世代の人たちだと考えています。共働きの大変さは、体験した人が多くない上の世代にはなかなか伝わりません。子育て中の親と子どもたちが“変化”に気付くことに価値があります」(大塚氏)
高齢者向けサービスなど、全てをデジタル化できるわけではない事業もある。子育て世代はデジタルへの対応が可能なケースが多く、そういった特定の世代向けのサービスでは、大量印刷を見直してオンライン対応に切り替えることが必要だという。大塚氏は「妊娠届提出のためのオンライン来所予約は、特に告知していないのに来所者の8割が利用しています。検索で見つけてくれるからです。そういったデータを示しながら、さまざまな部門でデジタル化を働きかけていきます」と意気込む。
23年度に向けて、新たなプロジェクトも進めている。通常、自治体では新年度の予算が決まった後に事業が動いていくが、大塚氏は現状把握やデータ収集など、予算決定前から取り組みに着手しているという。それも“常識”を変えるための一つの方法だ。
「予算を獲得しないとできないのも事実ですが、市民に対して『予算が取れないからやらない』とは言えません。仮に予算が通らなくても成果を出せるように、変えられるところから少しずつ、市民生活の大変なことや不便なことの解決に向けた複合的な取り組みを始めています」(大塚氏)
ちょっと前までブームだったのに、なぜ「高級食パン」への風当たりは強いのか
なぜ「プリウス」はボコボコに叩かれるのか 「暴走老人」のアイコンになる日
「男女混合フロア」のあるカプセルホテルが、稼働率90%の理由
登山家・栗城史多さんを「無謀な死」に追い込んだ、取り巻きの罪
7割が「課長」になれない中で、5年後も食っていける人物Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング