女性社員にお茶くみや菓子配りをさせる。飲み会で上司の空いたグラスに気付かないと「女子力がない」と評価される――。2020年代の日本に存在する、職場のジェンダー格差のほんの一例だ。性別による仕事の押し付け、不当な評価。誰もが「おかしい」と感じているのに状況が一向に改善されないのは、一体なぜなのか。背景を探ると、日本社会に特有の「同調圧力」の正体が浮かび上がる。
「日本にはタリバンがいないのに、なぜ女性の地位がこれほど低いのか」
日本のジェンダー格差は、海外からこのような表現で不思議がられるという。1月17日に都内で開かれたジェンダーギャップに関する有識者会議。こう話し始めたのは、司会を務めるジェンダー問題に詳しい治部れんげ・東京工業大リベラルアーツ研究教育院准教授だ。
治部氏によると、育児休暇などの制度自体は充実しているにもかかわらず、先進国でも最低レベルの日本のジェンダー格差は、海外から特筆すべき事態として受け止められているという。
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