むろん働く時間が減る賃金が減る、そこはどうする? という問題が出てくるのでしょう。
その問題の解決は決して難しくありません。
欧州のように、基本は無期雇用で有期雇用は禁止する。同一労働同一賃金を実現する。賃金の違いは働く時間の違い、という当たり前にすればいい。そもそも ジョブ型だのなんだの盛んに取り上げられていますが、本来ジョブ型は同一労働同一賃金とセットで語られるべき話題です。
また、何かにつけ諸悪の根源のごとく言われる「長期雇用」ですが、世界中のどこを探しても「長期雇用が生産性を下げる」なんてエビデンスはありません。むしろ人間の摂理にあった雇用形態です。年功賃金も否定的に捉えられますが、経験がものいう職業の場合、年功賃金の方が理にかなっているのではないでしょうか。
とにもかくにも「私」たちが考える以上に、「私」たちを取り巻く環境は変わっているという現実と正面から向き合い、「人」の潜在能力を発揮する働き方・働かせ方が、今こそ求められている。航空業界が「新しい働き方・働かせ方」のけん引役になることを心から期待します。
そして、もう一つ。なんとジェット旅客機の操縦室に乗務するパイロットを、2人ではなく1人のみとする計画が進んでいることも紹介しておきます。
英メディアの報道によると、ドイツや英国、ニュージーランドなど40カ国余りが「パイロット1人の実現」に向け国連専門機関の国際民間航空機関(ICAO)に支援を要請。すでに欧州航空安全機関(EASA)は、パイロット1人で安全飛行ができるように、運用方法決定に向けて航空機メーカーと取り組み、監督ルール策定の準備を進めているようです。
そこで議論されているのが、上述した「経験知」の重要性です。
パイロット1人制は、予定では2027年に実現するとされています。
あと4年。たったの4年。4年後、あなたの仕事は、どうなっているでしょうか。
東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。気象予報士としてテレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。その後、東京大学大学院医学系研究科に進学し、現在に至る。
研究テーマは「人の働き方は環境がつくる」。フィールドワークとして600人超のビジネスマンをインタビュー。著書に『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアシリーズ)など。近著は『残念な職場 53の研究が明かすヤバい真実』(PHP新書)、『面倒くさい女たち』(中公新書ラクレ)、『他人の足を引っぱる男たち』(日経プレミアシリーズ)、『定年後からの孤独入門』(SB新書)、『コロナショックと昭和おじさん社会』(日経プレミアシリーズ)『THE HOPE 50歳はどこへ消えた? 半径3メートルの幸福論』(プレジデント社)がある。
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