「DXバブル」「エリート学生に人気」で急拡大 コンサル業界に立ちふさがる“由々しき問題”とはビジネスモデルを分析(1/3 ページ)

» 2023年01月31日 05時00分 公開
[佐久間 俊一ITmedia]

著者プロフィール

佐久間俊一(さくま しゅんいち)

レノン株式会社 代表取締役 CEO

WEB3.0専門のコンサル会社 マーヴェリック株式会社 COO(Chief Operating Officer)

城北宣広株式会社(広告業)社外取締役

著書に「小売業DX成功と失敗」(同文館出版)などがある。

グローバル総合コンサルファームであるKPMGコンサルティングにて小売企業を担当するセクターのディレクターとして大手小売企業の制度改革、マーケティングシステム構築などDX領域のコンサルティングを多数経験。世界三大戦略コンサルファームとも言われている、ベイン・アンド・カンパニーにおいて2020年より小売業・消費財メーカー担当メンバーとして大手小売企業の戦略構築支援及びコロナ後の市場総括を手掛ける。2021年より上場会社インサイト(広告業)のCMO(Chief Marketing Officer)執行役員に就任。

2022年3月小売業と消費財メーカーの戦略とテクノロジーを専門にコンサルティングするレノン株式会社を設立。

2019年より1年半に渡って日経流通新聞にコーナーを持ち連載を担当するなど小売業には約20年間携わってきたことで高い専門性を有する。

日経MJフォーラム、KPMGフォーラムなど講演実績は累計100回以上。


 2024年卒の東大生・京大生就活人気ランキングによると、上位10社のうち8社がコンサル会社となっています(ワンキャリア調べ)。20位まで見てみても、12社がコンサル会社と20年前には想像もできなかった人気ぶりです。

 DXバブルと呼ばれて久しいコンサル業界ですが、今後もその成長は続くのか、業界のポジションと成長性を整理してみました。人が商品であるコンサル会社において、従業員数を一つのボリューム指標とすると、次の図の上部に位置する戦略系、総合系、IT系に市場ボリュームが大きい(22社合計4万7000人以上が在籍)ことが分かります。

 成長性としては、年商数億円規模をターゲットにした中小企業向けコンサルティングから数兆円の大手企業まで、どの規模においても活況な状況です。

 特に大手企業向けコンサルティングマーケットの伸長は著しく、総合系コンサルファームは19〜22年にかけて主要7社で約1万4000人増加しています(19年〜22年対比167%)。1人当たり売上高(≒粗利高)を2000万円とすると、3年で市場が2780億円ほど増加したことになります。その中でも従業員が約7000人増加しているアクセンチュアの拡大と、14年に設立して8年で1420人規模にまで達したKPMGコンサルティングの成長スピードが目立ちます。このように、総合ファーム各社の経営がダイナミックに展開していることが見てとれます。

 自社の規模拡大を一義とせず、徹底的な品質重視であった戦略コンサルファームも拡大路線へと舵を切っています。デジタル部門や別会社を新設し、総合ファームやIT企業の領域であったデジタル、BPR(Business Process Re-engineering)に着手したことでマッキンゼー、BCGを中心に拡大の傾向です。そして今、戦略系、総合系ファームは新たにWeb3領域(ブロックチェーン、メタバース、暗号資産)に注力し始めています。

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