「受験生しか見えない？」 森永ラムネのパッケージに隠された、あるメッセージとは：伝え方の工夫（2/2 ページ）

[ITmedia]

屋外広告・CMも

　大学入学共通テストが近づく1月7日からJR田町駅／改札前壁面に、1月9日から東京メトロ／新宿メトロプロムナード内壁面、阪急・大阪梅田駅／百貨店前広場壁面に屋外広告を掲示。こちらも赤シートをかざさないと見えないメッセージで受験生を応援した。

屋外広告　受験あるある

　また、赤シートをモチーフにしたテレビCM「よび覚ませ、集中力。」も放映。人気漫画『四月は君の嘘』とコラボし、受験を控える高校3年生がさまざまな誘惑や葛藤を振り払いながら勉強に励む姿を描いた。

『四月は君の嘘』とコラボしたCMも提供

　CMでは、勉強の邪魔になる雑音、集中力を妨げるゲーム、ぬいぐるみ、マンガなどの誘惑が赤色で描かれている。主人公がラムネを1粒食べると、雑音や誘惑が赤シートで消える。中原さんは、「『ラムネが受験生を集中に導く存在になりたい』というメッセージを込めました」と話す。

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「よび覚ませ、集中力。」 60秒

「ひっそりごうかくをいのっています」　メッセージのこだわり

　こだわったのはメッセージだ。“あるある”を記載して「自分もそうだなあ」と共感してもらい、赤シートをかざしてやっと受験生への応援メッセ―ジが出てくるという仕掛けにすることで、押しつけがましくならないよう意識した。

　「屋外広告では『ひっそりごうかくをいのっています』というメッセージを伝えました。そっと背中を押すようなブランドイメージを定着させるために『ひっそり』を採用。ただ『頑張れ』とだけ言っても、頑張っている受験生には響かないと考えました」（中原さん）

屋外広告には「ひっそりごうかくをいのっています」のメッセージ

「励まされた」「面白い」の声

　受験生からは、“あるある”の文章に対する共感の声や、「これに何度励まされたことか。ありがとうございます、最後まで頑張る」「赤シートの仕掛けが面白い！」という声が集まった。また、駅の広告には、受験生以外の資格勉強をする大人たちからも反響も多く、Twitterを中心に話題を集めた。

　売り上げに関して、数字は非公開としたものの「非常に好調だ」という。

　「小売店が前向きに売り場を作ってくださったことや、広告、CM、パッケージで一貫した施策を実施することで、『ラムネは勉強のお供』というイメージの醸成ができたことが要因だと考えています」（中原さん）

森永製菓が提供している受験生向けパッケージ商品

　同様の事例では、サントリー食品インターナショナルのエナジードリンク「ZONe ENERGY」も、東京の渋谷・池袋駅で赤シートをかざすことでメッセージが読み取れる「体験型広告」を提供し、話題を集めた。