関西の場合、クロスシートを座席指定車両にするだけでは、有料サービスとして乗客は満足しないようだ。その理由を以下で詳しく説明する。
京阪電気鉄道では、特急や快速急行に特別な座席指定車両「プレミアムカー」を連結して上質な着席サービスを提供することで人気を集め、高い乗車率を維持している。プレミアムカーは2列+1列の座席配置で、座席はJRの新幹線グリーン車のような設備の充実さに加え、専任のアテンダントが付く。
もともと関西私鉄の特急列車は、南海電鉄の一部や近鉄を除き、特別料金を徴収しない。その上、関東の私鉄に比べて通勤電車でも快適なクロスシートが提供されている場合が多い。これはJRでも同じで、JR東日本では多くがロングシートなのに対して、JR西日本の場合は転換クロスシートがあちこちで見られる。
関東に比べて関西の通勤時間帯の混雑はゆるやかなことも関係しているだろう。そういった事情があるので、「座れる」だけではなく、上等な設備とサービスを付随した列車で差別化を図る必要があるのだ。
京阪電鉄のプレミアムカーの成功例に対抗して、JR西日本では新快速で「Aシート」という着席サービスを導入した。これは特急列車なみのリクライニングシートを備えた車両である
この流れは止まらず、良質なサービスで知られていた阪急電鉄でも有料座席指定車両の運行を予定している。
阪急電鉄は22年12月17日のダイヤ改正を発表した際に、24年に京都線で有料座席指定サービスを導入することを明らかにした。詳細についてはまだ明らかとなっていないが、京都線の特急・通勤特急・準特急に導入するとのことである。列車種別を限定すれば、それらの列車の一部に有料座席指定車両を設けることになるだろう。
京都線のこれらの列車種別では、すでに転換クロスシート車両が主に使用されている。だが、単にその転換クロスシート車両に座席指定料金を徴収するというのは、京阪のプレミアムカーやJR西日本のAシートに対抗するのは難しいのかもしれない。
観光列車として大規模な改造を施した「京とれいん」の例を考えると、リクライニングシート車両を導入すると予想するのが妥当だろう。
では、なぜ多くの鉄道各社は有料座席指定車両を導入するのか? 特に関西ではなぜそれが盛り上がっているのか?
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