「ホロライブ」運営のカバー、上場で時価総額1000億円超えの可能性も? “UUUM化”回避がカギ古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(1/3 ページ)

» 2023年02月24日 05時00分 公開
[古田拓也ITmedia]

 VTuberグループ“にじさんじ”を運営するANYCOLOR(エニーカラー)の上場から、半年超が経過した。ついにVTuber業界でにじさんじと双璧をなす“ホロライブプロダクション”を運営するカバーが、2023年の3月27日に東京証券取引所グロース市場へ上場する見込みとなった。

 同社はインターネット上で活躍するVTuberの「宝鐘マリン」や「兎田ぺこら」を擁する。モーションキャプチャーやVR・XRといった先端技術を駆使してバーチャル世界のインフルエンサーを多数輩出している。

 カバーの収益源は、主にVTuberのグッズやボイスコンテンツといった「物販(マーチャンダイシング)」と、広告主の企業とタイアップして商品PRを行う「企業案件」、そして投げ銭などの「配信コンテンツ・ライブイベント興行」に分類される。

 カバーの公募時における想定時価総額は約434億円とされている。すでに上場しているエニーカラーの時価総額は現時点で1400億円を超えており、比較するとかなり小粒にも見える。しかし、エニーカラーもIPO募集時点の想定時価総額は約447億円であったことを踏まえると、主幹事証券等の評価ベースではどちらも同じ水準での公募となりそうだ。今後、最終的な企業価値は、市場参加者の値付けに委ねられることになる。

 わが国における株式市場では、ガンホー・オンライン・エンターテイメントや任天堂、そしてエニーカラーといったゲーム・エンタメ系の銘柄は個人投資家による人気が加熱しやすい。売上高や増益率の推移がエニーカラーとほとんど同じカバーの時価総額も、IPOと同時に時価総額1000億超となる可能性もあり得るだろう。

 カバーに公募時の時価総額446億円で初値がついたとして、エニーカラーとの2社だけで時価総額は1800億円超にもなる。両者は破竹の勢いで売り上げ・利益を伸ばしているが、近しい業態のエイベックスにおける時価総額700億円超、アミューズの300億円超と比較しても高めの評価がなされているといえる。

 このように、順調そのものであるVTuber企業だが、死角はないのだろうか。

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