クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

電動キックボードが「免許不要」に 日本の道路事情に合うのか高根英幸 「クルマのミライ」(2/7 ページ)

» 2023年03月02日 08時19分 公開
[高根英幸ITmedia]

粗悪な電動キックボードであふれれば、日本の道路交通が破壊される?

 特定小型原付という新制度は、保安基準に適合し、なおかつランプの点灯状態によって歩道走行モードと車道走行モードの切り替わりが外から確認できるようになっていなければならない。

 日本での電動キックボードは、保安基準に適合している商品だけを販売できるように規制すべきなのだが、そもそも遊具なので「公道走行はできません」と注意書きがあれば、どんな状態の商品でも販売することができる。法律がザルというより、性善説に基づいた発想から抜け出せていないところが問題なのだ。

(提供:ゲッティイメージズ)

 現時点でもフル電動自転車(アシストではなく、漕がなくてもモーターで走行できる本来は原付バイクとなる乗り物)でノーヘル、無登録で乗り回しているケースや、電動キックボードで飲酒運転し検挙されるケースがあり、気軽に乗ってしまうユーザーは一定数存在する。

 電動キックボードを製造しているメーカーはたくさんあって、そのほとんどは遊具として販売しているから保安部品は備えられていないし、価格も2万〜3万円程度からあり、とても移動用として使える品質や安全性を備えているようには見えないものも存在する。

 中には保安部品を装備し、前後にブレーキを備えた仕様も販売されているが、価格が3倍以上になっているため、前述のような気軽なオーナーはモーターやバッテリー、航続距離などのスペックを見て「安いほう」を購入してしまうだろう。

 「公道走行できません」と小さく記述してあっても、見た目はほとんど同じ。それでいて価格は安いので、電動キックボードを選ぶ人はどうしても出てくる。

 いくら日本のメーカーや団体が啓蒙活動しても、そもそもこうした法令順守意識の低いユーザーには、情報が届いていないのではないだろうか。いや、日々あふれるように情報が流れ込んでくる状態だと、こうした重要な情報は見逃されている可能性もある。

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